すずむら

すばらしき世界のすずむらのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.1
なんかさ、『ヤクザと家族』もそうだったけどさ、時代に取り残されたヤクザって、なんでこんな切ないんだろ。
いや悪いことしてるし自業自得だから同情の余地もないんだよ。
でもやっぱり気が付くとヤクザ目線(今回は役所さん)で物語をみてしまうんだよね。

刑務所ってやっぱり外界から完全に遮断されてるから、そこで十何年とかウン十年過ごせばそりゃ現代についていけないよね。
昔と比べたらヤクザは肩身が狭い存在になってしまったし、外に出ても前科者としてずっとみられるわけでもあるし。
生きにくいよ。
よほどなにかを捨てて変えていかない限りそりゃ出戻りするよね…

本編の終盤、雇用してくれた施設では障がい者とか前科者を雇うのはお金が出るからと言ってその人たちをバカにする同僚に対してグッと堪える三上。
そしてその同じようにバカにされいじめられている障がい者の同僚の優しさに触れる三上。
ここは突き刺さった。このなんとも言えない感情の名前を教えてくれ。
よかった。なんとも言えない感情が残ったが、よき作品でした。

追記
白黒はっきりさせないと気が済まない三上に対してグレーでないと生きづらい世の中なのが。
時には正義の心を抑えないとまわりとうまくやっていけない世の中とは。
すばらしき世界とは一体。生きづらい世界。
すずむら

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