辛く悲しく、ですが優しい
生きていくことは辛く悲しいけど、生きるしかないから優しくあろうよ、と言われているような印象。
キムラ緑子さん演じるヤクザの姐さんの別れ際のセリフが、ラストの綺麗な朝焼けの空に繋がっているような気がしました。
「娑婆は我慢の連続で、我慢してもいいことはない。でも、空は広い。」
終盤の介護施設でのエピソードは…三上が「我慢」することで折り合いをつける重要なシーンですが、観ていて辛かった。
解決できるような問題はそこには無く、私達はただ、いまこういう世の中で生きているんだ…という気づきをくれる、重要な作品だと思いました。
タイトルの解釈が難しい。すばらしき世界、とは果たして…。
役所広司は、今作も素晴らしいですね。内に秘めた怒りと悲しみ、笑った時の愛くるしい笑顔。とても魅力的な人物像でした。
仲野太賀さんのイマ風の若々しさ、北村有起哉さんの静かで確かな存在感が、とても良かったです。