ベースとなる実話があるそうだが、あくまで映画として観た感想を述べる。
レールを外れた人間が社会に復帰するのが困難というモチーフなんだろうが、この主人公には全く共感が持てない。
(1)人を殺しておきながら裁判でも出所する時でさえも反省の気持ちもない。
(2)喧嘩の啖呵では暴力団との関わりを匂わす嵩にかかった脅しをする。
(3)結局は暴力が好きでオヤジ狩りのチンピラを嬉々として痛めつける。
(4)人として本当に怒るべき時(障碍者がいじめらている場面)に何もしない。(この映画の見せ場として周囲の忠告を守るんだろうが、別に暴力を振るわずとも止めようとすることはできたろう)
同情すべき生い立ちがあるにせよ、まっすぐというほど真面目・純真というわけでもなく、キレると見境がなくなるこの主人公に共鳴してあそこまで親身になるスーパー店長、カメラマンも不自然。
対称的に、逃げるのも勇気、見て見ぬふりをすることがレールの上にいる事、みたいな描かれ方も大いに疑問。
レール(ルール)の上で逃げずに闘っている人は沢山いる。