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すばらしき世界のakaringoのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
5.0
▶︎2024年:321本目
▶︎視聴:1回目

《ストーリーについての評価等》

とにかく泣いた。
ひとりの人生が記録されることの壮絶さ。意味。周囲の人々の存在。苦悩。共に居る喜び。人間のあらゆる正義と葛藤とか、そんなものが凝縮されてた気がする。

三上の人柄ほど強く逞しいものはあるか。

『PERFECT DAYS』とは似てるような感じもしつつ、しかしこの作品のキャラを完璧に別個として演じきっている役所広司がやはり圧巻。感情豊かでなんて人間らしい三上。

声だけで物語を繋ぎつつ、映像は東京の街並みを映したりして、映像でしか表現できないものを魅せているところが秀逸。
この映画が映し出す東京を観て、私が今までは敬遠してみていた東京の世界が、初めて美しいものに思えた🗼

仲野太賀演じる津乃田と長澤まさみの役の絡みもよかった。

人間は、世間と自分というふたつの世界だけしか行き来することができない。
自分という枠(線)だけは、超えて生きてはいけない。
その一線を越えたということは、どういった行動をもってして引くのか。
それがきっと、一人ひとりの人間が抱く正義なるものであるが、
この正義というものの線引きが、なんとも難しいもので。

正義が違っても、互いの存在を愛することができる出会いが、我々には必要なのである。死なないために。生きるために。

置かれた環境(絶対的に選べない親や家庭)を振り返るか、新たな環境を探すことでしか、人間の愛を探す旅は、可能にならないのである。(自分にとっての“すばらしき世界”を探そう)

コスモス...

《印象に残った言葉》

・庄司勉(三上の身元引受人)「逃げるのは敗北じゃないぞ?“勇気ある撤退”なんて言葉があるだろう。逃げてこそ、また次に挑めるんだ」

《その他つぶやき》

原作である“身分帳”という本にも、今後ぜひ触れて読んでみたい。
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