四方を壁に覆われた謎の部屋で目覚めた主人公、部屋の中央には穴があいており上層より食事が下りてくるもののそれらは全て上層にいる人の食べ残し、誰が何のために作った施設かは不明、という謎に満ちたシチュエーションスリラーながら残念ながら心動かなかったなあ
その理由のひとつがまず上層と下層の意義を感じとれなかったから、ひと月ごとに入れ替わる居住フロアが完全ランダムということは、どんなに悪辣なことをしようと運が良ければ上層に行き誰も手をつけていない食事を楽しめるし、逆にいうとどんなに品行方正に生きようとも運が悪ければ下層で残飯とも排泄物ともつかぬものを食べなければならず、そしてその人に応じた月日をすごせば「上がり」となるならば、ここで過ごす意義は何なのか
無理やり連れてこられて生命の大切さを知るためのゲームに命を懸けているわけでもなく、管理者の都合のいい思想に染まり管理者の都合のいい生活をすれば待遇がよくなるわけでもなく、聖書でも貧富の差でも何でもいいから俗なものをこじつけてくれたら面白みを感じられたかもしれません
主人公の行動にも必然性を感じられなかったし、物語としては何も面白くありませんでした
