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プラットフォームのyuuのレビュー・感想・評価

プラットフォーム(2019年製作の映画)
3.7
多くの考察を要する映画だと思いますので、私の考えと監督のコメントを交えて解説します。

・最下層が333階だった点について
監督のコメントで最下層は存在しないことが明言されています。ですが映画では333階が最下層となっていました。それは2人がもうすでに死んでいてあれは主人公の最下層があって欲しいという幻想だったのです。
→・最下層が存在しないというのどういうことか
この映画は資本主義を風刺した映画です。30階ほどで同室となった元運営の女性は最下層を200階だと認識していました。これは運営(政府)が最底辺を想像でしか認識できていないことを意味します。現実でも、最底辺の人たちはこのくらい貧乏だろうな、と想像はできますが実際にその立場にならなければ現実を知ることはできません。現実は想像よりも悲惨で最底辺はどこまでも続いているということです。
・みはるこの子どもが息子ではなく女の子だった点
これは、あの333階が存在していなかったことを伝えています。映画では女の子はパンナコタを食べ上へ上がりました。ですが映画中盤、パンナコタが0層へと届けられ髪の毛が入っていたことで食べてもらえなかったのだなと勘違いされてしまうシーンがあります。これは、あの女の子は存在せず実際にはパンナコタが上へと届いたということです。ですが、思いは届きませんでした。

・この施設の目的
精神病院に入るか穴を選ぶかという選択肢から分かる通り、この施設は更生施設のようなものです。でたときには認定証がもらえます。少なくとも0層の人間はこの施設に悪意を持ってはいません。それは運営の女性が自らこの穴に入ったことが証明しています。

・伝言とは何か
この施設が破綻しており機能していないことを伝えるということです。0層の人間はこの施設は更生施設だと認識しており食べ物も足りていると思っています。毎月の階層変えの際、人が死んでいることには気づいていますが食べ物を取りあって死んでいるとは考えていません。だからこそ、運営の女性は変化を与えて平等に食べればいいのだという考えでした。


0層の人間は穴に対して自己満足な富を与えます。現実は知らずに想像のみで奉仕しているのです、階層は選べずランダムに決まります。現実でも産まれる家は選べません。そして生まれた家によってある程度階級は決まっています。上に行くことも出来ます。ですが上の人間に叩き落とされることもあります。最底辺は存在しません。資本主義の最底辺はどこまでも続いているのです。下からのメッセージは上には届きません。政府はいつも国民の声には気づかないのです。
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