ノラネコの呑んで観るシネマ

弥生、三月-君を愛した30年-のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

3.8
1986年の3月に始まり2020年の3月で終わる、一組の男女の34年間を描くクロニクル的ラブストーリー。
似た作りの作品にアン・ハサウェイ主演の「ワン・デイ 23年のラブストーリー」があるが、あちらが7月15日の1日縛りだったのに対して、こっちはざっくり3月の一ヶ月縛り。
物語の期間も16歳から49歳までと長く、二人の関係に絡めて時代の世相が描かれ、それらの多くは前半後半で意味を入れ替えたミラーイメージになってるのが特徴。
脚本家監督だけに非常に凝った構造で、必ず比べられるであろう「ワン・デイ」と同じことはしないという意図も感じる。
主人公と同世代ということもあって、諸々の同時代性も含めて面白く観たが、この作りにするなら、回想は使わず時系列通りの構成の方が良かったんじゃないかなあ。
ドラマチックにする意図は分かるが、ちょっと引いた視点で描いた方が効果的だったと思うんだが。
カレンダーが捲れる様な特徴的な変形ワイプのトランジションも、序盤は年度替わりに使われてたのに、中盤以降は同じ年の中でも使われる様になって、テリングに一貫性がないのも気になった。
2011年にはかなりボリュームを持たせてあるので、使いたくなるのは分るんだけど。
色々欠点は目に付くが、なかなかにチャレンジングな力作。
成田凌と波瑠の二人はほとんど見た目変化しないのだが、これはあんまり気にならない。
自分の変化を経験してきてるから、体型含め若くありたいという願望通りだからかもw