劇場版『コンフィデンスマンJP』2作目
世界有数の大富豪レイモンド・フウが亡くなった。彼の遺産を巡りブリジット、クリストファー、アンドリューの3姉弟が火花を散らすなか、執事トニーが発表した相続人は隠し子の「ミシェル・フウ」だった。4番目の子どもであるミシェルの存在を知る者は誰もおらず、彼女の捜索が始まる中、10兆円の資産を狙い世界中の詐欺師たちがミシェルの名を名乗り出てランカウイ島に集結する。ダー子、ボクちゃん、リチャードの3人も島に乗り込み、大胆不敵なコンゲームを仕掛ける。果たして誰がフウ家の当主になるのかという物語。
信用詐欺師のダー子、ボクちゃん、リチャードの3人は新たに弟子としてコックリを加え、レイモンド家の4人目の娘ミシェル・フウに仕立てあげ、手切れ金を手に入れるという高難易度の詐欺に挑む。
だが、見事に潜入に成功するも本物のプリンセスとして当主になるために、語学、テニス等といった厳しいお嬢様教育のレッスンを受けさせられる。果たしてレイモンド家から大金を掴み取ることができるのかというのが本作のミッションとなる。
前作の『コンフィデンスマンJP ロマンス編』と同様に本作も爽快に騙されるどんでん返しの連続で面白い。
舞台はシンガポールであり、多種多様な言語が飛び交う新鮮さ。民族衣装、お洒落な室内の装飾、食事や建物といったシンガポールの文化も楽しめる。
そして、天才恋愛詐欺師のジェシーや、ダー子の師匠のスタア、ダー子の愛弟子のモナコといったお馴染みのキャラの再登場は嬉しい。
GACKT、デヴィ夫人、広末涼子、北大路欣也といった豪華な顔ぶれもチョイ役として登場しているのが凄い。
“私たちは何にでもなれる。
なりたいと思ったものになれる。
本物も偽物もない。信じればそれが真実”
ダー子のこの言葉の如く嘘を本当にしてしまうというのが本作の最大の魅力。
浜辺での長澤まさみのシーンが何よりも美しい。コックリ役の関水渚は綺麗で演技も素晴らしかった。
くだらないギャグが炸裂する明るいコミカルな作風は面白いし、コメディなのに泣きそうになる感動的な演出があるというギャップも良い。毎度期待を裏切らない安定の面白さ。古沢良太の脚本は本当に天才だと思う。
前作の爽快なトリックよりもドラマが重視されている。家族のあり方や仲間のあり方など、人と人の繋がりが深く描かれているから心が温まる。今回も見事にスカッとする程騙された。最後の答え合わせが毎回ワクワクする。
他人より優れていることが
高貴なのではない
本当の高貴とは
過去の自分自身より優れていることにある
アーネスト・ヘミングウェイ
©︎ダー子