みずいろ

花束みたいな恋をしたのみずいろのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
5.0
キャッチコピーは「何かがはじまる予感がして、心臓が鳴った。」

大好きな坂元裕二さん脚本×「カルテット」で組んだ監督との作品とのことで久しぶりに劇場へ。
坂元さんの劇場作品で鑑賞済みの作品は「世界の中心で愛を叫ぶ」、「ギミー・ヘブン」の二作のみ。この二作に坂元作品ぽさはなかったのと、今作の宣伝の仕方があまり好きでなく不安だったが、この作品はもう坂元作品丸ごとそのままで嬉しかった。そして音楽いいな。って思ったら大友良英さんで納得。

劇場版にする意味はあるのだろうか?となる代表作品な気はするが、映画館で集中して見るからこそな作品だと思った。スペシャルドラマだと物足りなさがある気がする。

しかしそんなことも忘れるほどの、坂元節の台詞チョイスとテンポの良さ。もうほんと最高。
「最高の離婚」「カルテット」見ておもしろいな、好きだ。と思った人は是非とも観て欲しい。
それと有村架純ちゃんと菅田将暉さんに当て書きしただけあって、違和感なくてよかった。

有村架純ちゃん演じる絹ちゃんと菅田将暉さん演じる麦くんとの出会いから別れまでのお話なわけですが、坂元さんご本人も高校生に観て欲しいと仰っていたのもあるのか、自身の30歳という年齢も関係するのか泣けはせず。けれど、けれど!!!こんなに癒されて清々しい気持ちになる恋愛作品って初めてかもしれない。

作品中に散りばめられた好きな人や音楽や映画や小説。わりとマニアックなのもあって好きな人はもうたまらないと思う。

どっちの気持ちも分かるしこういう恋愛を通り過ぎた今だからこそなのか落ち着いて懐かしさと羨ましさと微笑ましさと分かってしまう結末。
趣味が合うとかすごく盛り上がるけれど、それが無くなると崩壊するのとても分かる。相手を嫌いになったわけでないのに噛み合わなくなるのしんどい。
ただ絹ちゃん麦くんは20代前半にこんなピュアで大人な関係性の恋愛したから大丈夫だよ!!!!ってなった。これを中盤から後半にやるとこじらせるやつですよね。

目的の一つだったオダギリジョーさんはもう本当そのままオダギリジョーすぎて(笑)
「南瓜とマヨネーズ」のハギオと何が違うのか(笑)でも遠目のカットからでも一瞬で分かるオーラはもう、さすがです。思っていたより登場シーン多くて嬉しかった。
ほかのキャストで言うと絹ちゃんと麦くんのご両親キャストが最高すぎた。岩松了さん、戸田恵子さん、小林薫さん。作品の中ではほんの一瞬のシーンなのになんであんなにもってかれるのか。さすがだよなあ。

そして注目している若手女優の清原果耶ちゃん。可愛かったし声が好きだな。芦田愛菜ちゃんにどこなく似てるのよね。

「花束みたいな恋をした」このタイトルに繋がるのかなと思った劇中の絹ちゃんの「女の子から花の名前を教わるとその花を見る度にその子のことを思い出すんだよ」って台詞。この台詞のように二人で過ごした時間の中で思い出すことや物が花束になるんだな。と。

久しぶりに観に行ってよかった!と思えた作品でした。
みずいろ

みずいろ