みずいろ

波紋のみずいろのネタバレレビュー・内容・結末

波紋(2023年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

カラフルな花々の庭から波紋が広がっていき不穏さと共に鳴り響くハンドクラップがこれからの不安を引き立たせてとても好きな演出。

しかし「かもめ食堂」「めがね」の印象が強い荻上直子さんが監督、脚本ということが信じられず何回も調べてしまったくらいに今までと印象が違う。新しい一面でこれからの期待が大きい。

柄本明さん、江口のりこさん、平岩紙さん、木野花さん、安藤玉恵さんと脇役が良すぎてずるい。しかもとっても贅沢な使い方。

どっちに転ぶのか分からなく主人公と共に飲み込まれていくのを久しぶりに味わった。
息子の彼女への対応におおお、、と思っていたら彼女が強くて面白かった。いいぞいいぞー!って思わず応援してしまう。

若い頃は宗教にハマる気持ちが分からないくらいエネルギーがあったけれど30代に突入してエネルギーが減ってくると、自分ではどうにもならない問題にぶち当たったときに自分で考えるのを辞め信仰してれば楽な気持ちになれるのかも、、、と少し気持ちが寄れるようになった今見たからこそ色々と感情移入出来て苦しくなった。

それぞれ利己的に考えているように見えるようで内面は分からない。だからこそ人間味が大事なんだけれどそうはいかない世を良く表していると思いました。

しかしながら女は生きる力が強い。
水由来の宗教にハマっていた主人公が雨の中、死の黒と生の赤の世界で踊るフラメンコはカッコよかった。

息子がなんやかんや家に顔を出したり父を看取るのは、壊れる前はそれなりに良い家族だった名残なのかと思うと切ない。
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