長内那由多

花束みたいな恋をしたの長内那由多のレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
5.0
膨大な固有名詞はもちろん、僕は生活圏も近いので冒頭、彼らが明大前から調布まで歩いた代え難いビフォア・サンライズを肌感覚で理解できた。でも大した恋愛経験もない僕にとって、重要なテーマは“生活”に見えた。生活が人生の豊かさに繋がり得ない2015~20年の景色。

僕もほぼ同時期、運送会社で働いていたので、主人公の姿は近しい風景。でも僕は稼ぐという生活に限界を感じてしまって、放棄してしまった。パズドラなんかじゃ慰めにもならないし。最近、コロナをきっかけにホームレスになった友人が(その節は力になれなくて申し訳ない)「生活って大事だな」と。

世界の押井守が超重要なシーンで出てくるんだけど、たぶん映画館の観客は誰もあのオッサンが何者かわかってなかったw国立での目撃証言は多いけど、明大前にも出没するのかな。

固有名詞を出しまくる映画の弊害なんだけど、オダギリジョーの出演はノイズだよなぁ。この世界は押井守がいて、『ストレンジャー・シングス』があるけど、オダギリジョーはいないというw

20代の若者に見てもらいたいし、もちろん大人は色んな角度からグサグサ刺さるので見てほしいな。菅田将暉の繊細さ(時系列によって表情がまるで違う)、有村架純の芯の太さにも刮目させられた。
長内那由多

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