試写。今年のアカデミー長編ドキュメンタリー賞受賞作。ロシア軍の包囲が狭まる中、現地の実情を世界に発信しようと奮闘するAP通信取材班。決死の脱出劇を見せ切る終盤の構成力に、オスカー受賞時「撮りたくなかっ>>続きを読む
試写にて。
ラジ・リは『レ・ミゼラブル』『アテナ』(脚本)に続き、“パリ郊外団地モノ”という独自ジャンルを確立した感。燃え盛る炎、団地という“スペクタクル”。だが前2作からテーマは一歩先に進んでいる。>>続きを読む
試写にて。
世界興収2億ドル超えの大ヒット作。みんな超ド直球の(90年代風)ハリウッド製ロマコメが見たかったってこと!セクシーでフレッシュな新進2人にイイ気分!
拾い物の1本。周囲の環境音がリズムになって聞こえる共感覚を描いたミュージカル青春映画。監督、脚本、主演、音楽、振付を手掛けるルディ・マンキューソは今後、バジェットが大きくなればさらなる快作を撮りそう。>>続きを読む
マイケル・ジャクソンなどの替歌で80年代に人気を博したパロディ歌手ヤンコビックの伝記映画…という触れ込みの“パロディ伝記映画”。マドンナ役のエヴァン・レイチェル・ウッドがノリノリで可愛い。
なんていい湯加減の娯楽映画なんだ!監督はダグ・リーマン。オフビートで、主演のジェイク・ギレンホールもニヤニヤ笑いが止まらない心地良さ。近年のギレンホールは“普通のハリウッド映画”を意識的に選んでいる感>>続きを読む
わずか106分を贅沢に使った情感あふるる1本。男達の繊細さと優しさに泣かされた。目だけで心情と年月を表現するユ・テオの才能。祖国という“前世”を持った移民のアイデンティティの物語であり、愛しい人の過去>>続きを読む
ローラ・ポイトラスによる圧巻のドキュメンタリー。「生き延びることがアートだった」と言う写真家ナン・ゴールディンを通じて浮かび上がる芸術と政治、『シチズンフォー』でも描かれた個人と社会、権力の偏執性。昨>>続きを読む
劇場未公開が悔やまれる好編。1970年、11歳のマーガレットは引っ越し、友情、身体の変化などを神に語りかける。父はユダヤ教で、母はクリスチャン。宗教的アイデンティティを模索する青春映画でもある。レイチ>>続きを読む
主観の映画。政治的プラカードを拒否し、共感できない主人公、およそ初見では把握しきれないストーリー展開、そして生まれ育った国で決定的に異なる解釈とあらゆる面で観客の主観に委ねる。原爆投下後の幻視は僕たち>>続きを読む
試写で。
怒りと暴力を抑制できないベニーは親に捨てられ、やがて福祉も彼女を見放し始める。主演のヘレナ・ツェンゲルは本作の後、『この茫漠たる荒野で』に出演。9歳で完全に役柄を把握している天才。強い使命感>>続きを読む
腰が上がらず今まで見ていなかった映画。想像以上にシンドい話である事に加え、『アメリカン・フィクション』を観た後では、一層「これ、絶対今の時代じゃやれないな…」という気持ちが強まるし、スピルバーグも絶対>>続きを読む
オールスターキャストを得たヴィルヌーヴが映画のスペクタクル、ナラティヴの復権を賭け、凡百のハリウッド映画を砂漠に葬り、観客に「楽園へ連れて行ってやる」と宣言する。遅くてもいいし、ダークでもいい。次代の>>続きを読む
『チェルノブイリ』のヨハン・レンク監督。互いに引力を見失った夫婦の瞑想的SF。宇宙飛行士の夫は孤独に打ちひしがれ、内なる宇宙の反響に耳を澄ます。浮遊するカメラ、マックス・リヒターの音楽、宇宙蜘蛛ポール>>続きを読む
純文学作家のモンクはステレオタイプの黒人文学を書いた事からバカ売れしてしまう。コード・ジェファーソン監督は自身の脚本を転がし切れていないが、ミドルエイジクライシスのドラマとしてはなかなか刺さった。強烈>>続きを読む
2000年代初頭のスーパーヒーロー映画を観ている既視感。ユニバースに積極的に加担しないソニー製マーベルは、潔くこの辺のユルいアメコミ映画に回帰しつつあるのかも。
キャラクターが揃ってから一向に話が弾>>続きを読む
ガイ・リッチーの力作。アフガニスタンで現地通訳者に命を救われた米兵が、恩義を返すため戦地に戻る。十割打者ギレンホールと共演ダール・サリムの名演。アメリカの対外政策への痛烈な批判であり、この映画の向こう>>続きを読む
ディズニープラスで。「最近のMCUでは1番楽しい(マシ)」とか何の慰めにもならない仕上がり。悪役にマトモな俳優をキャスティングできなくなっている点でもかなりヤバいと思う。
終盤、激アツ。あまりにも自己言及的な作品なので、『ミツバチのささやき』や『エル・スール』等を復習してからの方が良いような気がした。もう1回見る。
じんわり。全てが完璧に揃った『ケイコ』のようなステップは踏めていないが、東京の何でもない下町に凝らした目線は変わらず、夜空の下で私達は肩を寄せ合い、時に誰かは隣で瞬く星なのだと教えてくれる。息をするよ>>続きを読む
撮影は『ノーマル・ピープル』のケイト・マッカラ。傷つき、老いた夫婦が再生し、試される物語でもある。静謐でいて緊迫する終幕からのラストシーンがいい。
93年に『生きてこそ』のタイトルで製作されたウルグアイ空軍機遭難事故の再映画化。生還者ではなく死者の声に語らせるのがJ・A・バヨナ。極限状況に追いやられた青年たちは肉体と魂、この世とあの世の境界を超え>>続きを読む
最強のエマ・ストーン。こんな女優になるなんて、誰が想像した?と言いつつ、ブレイク作『Easy A』からの正統であり、監督ヨルゴス・ランティモスも出世作『籠の中の乙女』から一貫している。土曜の都心シネコ>>続きを読む
題材は興味深いものの、ストーリーテリング、撮影、編集に取り立てて見るべきところはなく、これが大きな作品になっても面白くなるとは思えなかった。まだまだ素描。
今年のアカデミー短編ドキュメンタリー賞候補。LAの学校で使われる楽器を無償修理する職人たち。人には歴史があり、彼らの音楽との出会いがかつてあったアメリカの姿を浮かび上がらせる。ブラバン出身の僕には泣か>>続きを読む
個人的にあまり新しい情報がなく、語り口も教科書的で生真面目すぎる。
地上波で何度も『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を見ていた世代だが、パーキンソン病を告白後、彼がどうしていたかはとんと知らなかった。自身の病を役柄に反映させてTVシリーズでキャリアを拓いていたことにビ>>続きを読む
ぜんぜんノレなかった。
ディズニーが買収した20thFOX傘下のアニメーションスタジオを潰した結果、今回Netflixからリリースされ、その後アニー賞で最多ノミネートというのは胸がすく後日談だけど。>>続きを読む
互いに失恋を経験したばかりの若い男女の出会い。ロンドンのジャマイカ系を主人公にした『アメリ』風のキュートなラブコメなのに、撮影がヨルゴス・ランティモス映画のような奇妙さ。細部まで設計された極彩色のプロ>>続きを読む
ウクライナから戦火を逃れてきた義足の少女が、同じ境遇の子どもたちとサマーキャンプに参加する。少女は思春期を迎えており、育ての親代りの祖母とは関係がぎくしゃくしている。サマーキャンプを運営するスタッフの>>続きを読む
バティステがグラミー賞を席巻する中、白血病を患う妻の容態が悪化し、自身もプレッシャーに押し潰されそうになる。オスカーに届けば劇場公開を実現してほしい音楽映画でもあるが、どうだろうか。
全く予想外の角度のエメラルド・フェネル監督第2作。パトリシア・ハイスミスをジェームズ・アイヴォリーが撮ったようなルックに、再び鹿の角を冠ったバリー・コーガンを注入。全編決まりに決まった映像美(リヌス・>>続きを読む
試写で。
作家の妻、夫の不審な転落死、視覚障害の息子。フランス映画の真髄とも言うべき重厚なミステリー。『マエストロ』同様、夫婦の“暗黙の了解”についての話であり、作品と作家の人間性についての解剖でもあ>>続きを読む
大傑作『父を探して』のアレ・アブレウ監督新作。前作からガラリと作風を変えたが、その主題は変わらない。台詞と明確なストーリーラインを得て、今を生きる子どもたちに宛てた激熱の1本(終盤は『めぐりあい宇宙』>>続きを読む
何かが起きているが、何が起こっているのかわからない不気味な快感が持続する141分(マック・クエイルのスコア!)。『ミスター・ロボット』『ホームカミング』を手掛けたサム・イスマイルの偏執病的スリラーが、>>続きを読む
大学で教鞭を執りながら創作を続けるミシェル・ウィリアムズ。時間はない。仕上がりに納得がいかない。お金儲けもそんなに得意じゃない。家族のことや、生活もある。でも、心配しなくていい。「もう飛べたんだね」お>>続きを読む