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花束みたいな恋をしたのAのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.5
永遠が、欲しいな〜〜。
なんにも変わらないと信じられるものが欲しいと思う映画だった。出会い方、とても好き。

「社会に出ることは、お風呂に入ること。」って、絹ちゃんのお母さんは言う。死んじゃった麦くんの先輩は、酔っ払うと海に行きたいと言う。酔っ払って、行きたい海には行けず、お風呂に入って死んじゃった。社会に出て死んじゃった。あー、お風呂はいって良かったって私は思えるのかな。それとも、やりたいこと我慢してお風呂入って溺れちゃうのかな。どっちなんだろうな、って思う社会に出る2ヶ月前。。

同じものが好きで、同じ感じ方をして、同じ温度の2人が、(例えば死んじゃった先輩を取っても)同じ事象を違う切り取り方して違う感じ方して、どんどんすれ違っていくのがきつかった。
終わりの始まり。つらいなぁ。
どんどん麦くんが変わってしまって、顔つきも冷めていって、つらいなぁ。

最後のファミレスの、あの、リアルな空気。言い出しにくくて、言ったら終わっちゃう、本当に儚い一瞬の積み重ねのあの空気、耐えられなくて泣いてしまった。

絹ちゃんは、結局、花の名前を教えなかったけれど、それでも、花の名前と同じくらい、「髪の毛を乾かしてくれたなぁ」とか「焼きそばパンのお店あったなあ」とか、「あの日も雨降ってたなあ」とかいつまでも忘れない、思い出の一つ一つが束になって、花束として、彼らの心にあるんだろうな。私の周りにいる人たちも、きっと花束を抱えていきているだろうな。
私にはまだ、その花束をキレイだなぁって眺める強さはない。
A

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