saki

花束みたいな恋をしたのsakiのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます


待ってました、坂元裕二
今までの坂元裕二とは異なる静けさで、絹ちゃんと麦くんのふたりが圧倒的現実。
自分のメモメモ

生活に蝕まれていくカルチャーに
変わっていく恋愛の比重、世知辛い。

一度目の鑑賞時は小さな箇所からもうチクチクと、大量の固有名詞で当事者意識植え付けられた上に坂元裕二脚本に浸かったせいで思考パターンまでかぶるもんだから自分と地続きの上にこの2人がいるんだと是が非でも思わされる。

電車に揺られるって言った
同じことずっと考えたことある人を知ってる
スタンプカードだったらとっくに貯まってて
会ってない時間に考えてるか、ならとっくにそうで
ほぼうちの本棚じゃん
もったいない、今話しかけないで、上書きしないで、まだ昨日の夜の余韻にいたいんだよ
私、山音さんの絵すきですっていわれた私、山音さんの絵好きですって いわれた

序盤はもう誰もが笑顔になる2人の時間なのに別れを想像しながら見るだけにとにかく儚くて幸せが苦しい
はじまりは、おわりのはじまり。

海でしらす丼買いに消える麦くんは絹ちゃんへの愛で溢れてるのに、しらす丼より突然いなくなることに反応しちゃう絹ちゃんがもう苦しくて仕方ない。
元彼に浮気された、突然きえちゃった、過去があるんじゃないかってところで考察落ち着いた
幸せをたくさんくれる人より不安にさせない人が本当の幸せをくれると思ってしまうタイプなんだけどこうなるのってそもそも不安に殺されたことがある人だけなんだよね

不協和音が生まれた中盤、ぼろぼろと涙がとまらなかったのは知ってる痛みだったからで絹ちゃんの口をつぐむ回数と共に失うものを勝手に自分で思い出してまた泣いた

仕事の話をする麦くんへの「良かったね」
「大丈夫」「うん、わかってる」
イヤホンでの遮断
背が高くなる積読
1冊の漫画を一緒に読んで泣いたふたりが同じ映画を見つめられないクリスマス
「映画とかさ、何か、してほしいことある?」
「ベランダの電球、切れてて」

ふたりは同じ点を持っていたけどわざわざ互いの両親を登場させたところで生い立ちや育ちからふたりの性格なんかが浮かんでしまったな

別れの終盤3分の1
どこで何をおもったか、なんて、自分の人生見透かされそうなラストで
結婚しようよと最後の麦くんの台詞から最高の離婚が浮かんだ

はじめは彼氏や好きな人と見たらダメだなって思った。共通点ではじまった2人なら、同じ未来を考えてしまうしそうじゃないなら今の恋人の隣で違う誰かに想いを馳せてしまうし、と。でも2回目の鑑賞でmeiさんのブログを読んだ絹ちゃんが「この恋を重ねる気はない」と言い切ったセリフが耳に残り、恋人と見たらいけないと思ったのは自分の恋愛に対する臆病さが顕著にでてたんだと痛感。

これを見た、とストーリーで流した時に「彼女と見て、今の彼女をもっと大切にしようと思いました」とDMをくれた男の子がいてまた少し泣いた
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