さつき

花束みたいな恋をしたのさつきのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

これは女と男の価値観の違いを浮き彫りにした作品。
そして、現代の日本社会をリアル過ぎて苦しくなるほど見事に描いている作品。

今生きることに悩んでいる人にはツラいかも。。
私はとても辛くなった。当分の間放心状態だったし、見た日の夜は寝れなかった。まあ仕事しんどくて社会人になってから全然寝つけてないけど。

サブカルチャーをこよなく愛する2人が出会った。
数々の固有名詞が心地よく映画の中で響き渡る。
趣味が驚くほどにあった彼らはすぐに恋人同士に、、

ただ、彼氏の方が夢を諦めないといけない状況に陥ったり、自分の抱えている苦しみを彼女に打ち明けていなかったり、、、

彼氏の方が就活を始めて、仕事に打ち込むようになる。その打ち込み具合が、まさに社会の歯車そのもので、、自分の叶えたい夢があったはずなのにその存在すら忘れて、彼女が自分のやりたいことを仕事にすると言いだすと、「そんなんできるわけない」と否定してしまう。

彼氏は、昔彼女の母に言われた「人生は責任だ。」という言葉。当時は笑っていたのに、社会人になった今では自分が発する側の人間になっていた。

ああ、ツラいツラいツラい!

この2人は自分の好きなことで繋がっていたのに、その共通項がなくなってしまった。

2人が別れることになったのは、元々恋愛の価値観が合っていなかったというのもあるだろうが、資本主義の日本社会のせいでもあると言えるだろう、、、

映画ではシーンが変わる時に真っ黒になってから、新しいシーンに移り変わっていた。その映し方が思い出を振り返っていく様そっくりだった。

ちなみに、映画中に出てきたマーガレットという花は、優しい思い出という花言葉らしい。
彼女が彼氏にマーガレットという花を教えなかったのも、この恋には終わりがあるんだということの象徴であるだろう。

好きなブロガーの死や、先輩の死も、とても日本社会を現していて苦しかった。

でもこの5年がお互いの今後にとってとても重要で必要だった時間であることは間違いない。

そう思うと、私は全く本気で恋愛してきていない。
本気の恋愛がこの映画のように苦しいものであるならば私はもう恋愛したくないと思った。それぐらい臆病だし面倒くさがり。

まあでも日本社会がこのように変わらないのであれば、そりゃ少子化になるよな。

とにかく私がこの映画を観て思ったことは、今すぐに仕事を辞めたいということ。これ以上仕事に自分のアイデンティティ失われたくない。私もこの映画の彼氏のようになりかねない。それだけは、、、それだけは勘弁。
さつき

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