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花束みたいな恋をしたのやのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
2.5
『花束みたいな恋をした』は若者を取り巻く経済や親世代の格差固定化といった社会問題の話なので、あるあるネタとか麦や絹のキャラ消費とかだけで終わらせないことが必要だろう。
「わたしも、まさにこの二人と同じ過ぎて刺さりました」とか言っている場合じゃありません。
例えばベーシックインカムがあれば、二人は別れないで済んだんじゃないの。とか。

余りにもあるあるネタの強度が強くて、そもそもあるあるネタを成立させてる社会(の条件)に中々目が行きにくい気がして、それは脚本の功罪。
でも強いあるあるが言えるのは社会への的確な観察と描写が言わずもがなの前提で。
いや、あの二人の場合、それはそれで実際はもっとしょうもない痴話喧嘩で別れた可能性は高いんだけど、くだらない痴話喧嘩で別れたほうが、人の生き方として尊いのではないかしら。

とはいえ。
確かに絹は実家が太くて浅くカルチャー消費してるだけのワナビでさえないちょっと浅はかな人なんだけども。でも青息吐息の出版社は絹みたいな人に自身の存在の幾ばくかを依存してんのよね。
カルチャー寄りの人の方が、生活のためになにかを諦めた麦のヒロイズムに共感してしまうのかもしれないけど、浅はかな気取りと全く無縁のカルチャーも存在出来ないでしょう。

だからやっぱり、キャラ同士を二項対立で捉えて消費の具にするよりかは、なんで若者をこんなことにさせちゃったかなっていう社会を考えるきっかけになればいいじゃないのと思います。
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