バジルサーモン

花束みたいな恋をしたのバジルサーモンのネタバレレビュー・内容・結末

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

全体的に映像のテイストが好きだった

まとめると、カップルのユートピアが徐々に崩壊していく様が上手く描かれている。

イヤフォン、本に注目すると二人の変化がよくわかる。
イヤフォンをシェアしていたら、知らないおじさんに説教されたり、イヤフォンをお互いでプレゼントしあい幸せな未来を想像していたのに、そのイヤフォンはお互いの生活を遮断するために使われた
→絹がゲームをするから、麦は集中するためにイヤフォンつけた
→麦は仕事を積極的に取り組んでいて、絹の楽しみを奪うのは申し訳ないと思って配慮をしたつもりだが、絹にとっては一緒に盛り上がって楽しみたかったから逆効果だった

冒頭のシーンは別れたあとの二人で、最後に繋がるが、イヤフォンは一人1つで有るべきだとお互いが恋愛に対しての価値観が変わったことが読み取れる
→全てを共有しようとし過ぎないこと

絹が就活で大変な思いをしているときに麦がピクニックを読んでもその人は何も感じないよ。と励まし、麦が仕事で大変な思いをしているときに、今度は絹が同じ言葉を返すが、麦はもう自分が変わってしまい、俺もそんな人間になったと悟る

最初の頃はお互い読んでる本が同じで盛り上がり、段々仕事が忙しくなり絹が勧める本も読む暇がなく、麦の机に本が積まれている描写がある
→お互いが共有していた趣味がどんどん減っていくのが分かる
→絹の好きな漫画をパラパラとめくり、机の上に乱雑に置いておく、それを見て絹は腹が立ちすぐに本棚に戻す

二人にとっての想い出の駅前のパン屋が潰れてしまい、絹はそれを麦に伝えるが、麦は仕事でトラブルが起き、そんなことはどうでも良かった
→絹は悲しいねと一言、同じ気持ちになってほしかった
→別れた後に、麦はパン屋が潰れたことに気が付くくらい余裕がなかった

最初の頃は二人で待ち合わせをし、30分歩いて帰っていたが、お互い仕事が忙しくなり、一緒に帰ることもなくなり、スーパーや電車でたまたま帰りがかぶり一緒に帰る
→徐々に気持ちが離れている描写がわかる

付き合うときも別れるときもあのファミレスを使い、別れるときにいつも座っていた席が空いていなく、別の席に座る。
→もう過去の楽しかった頃に戻れない

その自分たちの想い出の席にまるで昔の自分たちのような若者二人が座っている。
→今と昔の違いを突きつけられる

麦が絹ちゃんとの生活を現状維持をすることが夢と話していたが、フラグ回収していくのも面白かった。
付き合うときに白いデニム履く人が嫌いと、ウノ言ってないから2枚!が嫌いと言い合う二人。相手を理想にしたがるのがよくわかる。
何かになれると信じている二人が、何にもなれず、普通になろうと藻掻くがそれすらも難しく、中途半端に諦めた形で結婚をしようと言う。
それでは良くないと気付き、二人は別れる。この結末が個人的には正解だと思えた。

麦側の考えの方がとても共感ができる。絹の気持ちもわかるが、絹は自分と同じでないものをあまり受け入れないような感じがした。もう少し、他人と自分は別の生き物であるし、求め過ぎなければ上手く行ったのでは?と思える。