sam

花束みたいな恋をしたのsamのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.3
85点

最後が恋人の別れ方の教科書すぎて羨ましかったし切なくなった(羨望の目)。
一方で前半のサブカルマウンティングは見るに耐えないものがあった(リアルで胸に刺さる)。
わかりやすくカルチャーの固有名詞を出し、実写化された映画や名作映画を話題に挙げる人を馬鹿にし、見下している。
にも関わらず、天竺鼠のチケットを取るものの実際には見に行かなくても平気なことを語られているように自分達もサブカルワナビーであり、見下していた人と同じ穴のムジナである。
このように周りを見下し、自分達を武装している二人。お互い武装しているキラキラな部分を拾い集め取り繕っているまるで花束のような二人の関係性(いい部分だけしか見せない)。
お互い自分の写し鏡のように感じているかもしれないが、それは相手の中のほんの一部で、実はベン図で重なっていない部分は非常に大きい。重なっている部分が大きく見えてしまったが故に、重なっていない部分を知ろうとも理解しようともできなかったししなかったんだろうな、と。
そんななかで、就活を通して恋愛という理想が社会という現実に侵食されていく様はリアルすぎる。

一見キラキラしているような前半部分に痛いところを突かれて胸を締め付けられ、後半部分ではもう体力切れだった。(それくらい面白かった)

いろんな人で解釈が分かれそうなこの映画。
そんな余白の残し方も結構好きだな。
sam

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