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花束みたいな恋をしたのcomのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.0
どこにでもありそうな、ごく普通の恋愛を切り取ったような感じ。
だけど、お揃いのジャックパーセル、マイナーな好みと考えが合致した瞬間、カメラ越しの告白、押しボタン式の信号、何気なく過ごす毎日、
普通にならなくてはという焦り、すれ違いからの口喧嘩、“じゃあ”という観念したような言葉、描かなくなってしまったイラスト、いつしか揃わなくなってしまった2人の靴。
書き出したらキリがないほど
胸がギュ〜ってなる描写がたくさんあった。
幸せな時間も切ない時間もどっちも。

麦くんの出張のシーンで、絹ちゃんが気にかけて渡してくれた本を車のトランクに雑に投げたシーンはとてもショックだったなあ。
絹ちゃんの優しさが、、
かってあんなに大好きだった本なのに、、、
2人の恋愛が始まるきっかけでもあった本なのに、、と、しばらく悲しい感情なった。
(割と一瞬のシーンだったけれども(笑))

麦くんが最後に言っていたブラジルの会見の話で「あと一歩だった」というフレーズがあったけど
2人の恋愛に見事に当てはまっているなと。

これはもう私個人の見解だけど、恋愛は時間が経つにつれて相手をどんどん知って出会いたての頃よりはるかに好きが募って「この人だ!」ってなって、結婚する流れがほとんどなのかなと思ってるんだけど、絹ちゃんと麦くんは感情のスタートが逆だった。趣味も考えも以心伝心みたいな出会いだったし「この人だ!」という感動が最初に来ていたからこそ、それを超えてくる2人の間の出来事やきっかけが見つからなかったんだ。だから長いこと一緒に過ごしていても、結婚に踏み入ることがなかったんだろうなと思った。

麦くんは「現実的」な考えをしてて、絹ちゃんは「理想」を追い求める。
麦くんは「家族になれば恋愛感情がなくても違った幸せがある」と考えるけど、絹ちゃんは『結婚しても恋愛感情は忘れたくない」と考える。

どんなに趣味や意見が合ってても大事な部分が相違してたんだよね。

でも私はいつかまた2人が一緒に過ごす日々がきますように、って思ってしまった。
2人には別々の幸せじゃなくて、
2人で、一緒に幸せになって欲しいと思った。
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