半兵衛

大いなる罪びとの半兵衛のレビュー・感想・評価

大いなる罪びと(1949年製作の映画)
4.0
ギャンブルとは縁のない人生を歩んでいた主人公が愛する女性のためにギャンブルをはじめたところそこから脱け出せなくなってしまったことからはじまるカルマが話が進むごとにどんどん深くなっていくのでしんどくなってきたが、同時に登場人物を通して「人間はどうして賭け事にハマるのか?」という問題に真摯に答えようとする姿勢が感じられて中々の見ごたえがあった。そしてこういうどうしようもない人間を映像で鑑賞するのは結構楽しいということも。

きっかけは愛なのにそれがギャンブル熱に変わっていく当初は紳士だったグレゴリー・ペックの変貌ぶりが凄い、そして彼にとっての女神でありながらギャンブル中毒になっていたエヴァ・ガードナーがペックとの愛で変化していく対比が効いている。

ベテラン俳優たちによるサポートも見事で、中でも死にそうなのにギャンブルへと挑んでいくエセル・バリモアの演技が圧巻。

序盤賭けにハマってしまい悲惨な最期を遂げた老教授と主人公が再会する幻想シーンや、どうすることも出来なくなった主人公の前に出現するキリストなどの印象的な映像シーンはさすがシオドマク。

でもラストが甘くなっているのが残念、あれだと反省していないからバットエンドに突入するしかないと思うのだが。
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