くま

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド/エクステンデッド・カットのくまのレビュー・感想・評価

4.5
本来100点満点の映画。だが、視聴者の知識・経験値に依拠する作品であり、試される作品。
それだけに映画ファンにとっての登竜門的な存在の映画だと思う。

1969年のハリウッドを懐しむだけの作品とかと、映画序盤では「こんなものか?」と思ってしまった。
が、徐々に名作たりうる片鱗が作品中盤から垣間見えるようになった。というか、気がつかされた。

例えばブラッド・ピット演じるクリフは、現在のハリウッドでの問題(MeToo・薬物・暴力)のメタファーという見方ができる。
未成年との性交は避けたものの、暴力行為で仕事を無くし、LSDでトリップし、最終的には映画の幕引き前に退場する様は、ハリウッドの暗部の権化である。

とは言え、自分もこの作品の良さ、本質的な部分、クエンティン・タランティーノ監督が訴えかけたいこと、全てを汲み取ることができなかった。
「映画の基礎知識」「クエンティン・タランティーノ監督作品」「アメリカの文化的背景・変遷」を知らないと、監督の遊び心すらもキャッチすることができないと感じた。
純粋に悔しいし、勉強不足である。

いずれにせよ、この映画は単なるハリウッド懐古主義の作品ではなく、無惨な死を遂げた故シャロン・テートを救済しつつも、今のハリウッドに対する監督なりの考えを、遊び心たっぷりに表現した、最高傑作であることは間違いない。
この作品を映画館で見られたことは一生の思い出である。

いつかこの作品が100点である、と自身をもって言えるよう、今後も映画を見ていきたい。
くま

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