ななし

ダーティハリーのななしのレビュー・感想・評価

ダーティハリー(1971年製作の映画)
4.0

刑事もののクラシックにして、被疑者の権利についてはやくから問題提起した異色作。

サンプラシスコ市警のハリー・キャラハンは汚れ仕事を得意とする刑事。
彼はスコルピオと名乗る連続殺人犯を追っていた。スコルピオはビルの屋上から何の罪もない人々を狙撃し、その現場に「10万ドルを用意しろ、さもなくば黒人か牧師を殺す」と脅迫するメモを残す。

被害を出しながらも、犯人のしっぽをつかむハリーだったが、スコルピオは少女を誘拐して人質としたため、手が出せない。

しかし、ハリーは犯人の自宅を特定し踏み込むことでスコルピオを追いつめる。スコルピオの足を撃ちながら激しく脅し、ハリーはついに人質の居場所を聞き出す。

事件は一件落着かと思いきや、スコルピオの自宅への捜査は令状がなかったため、そこで押収された狙撃ライフルなどは証拠能力がなく、スコルピオは無罪放免となってしまう。

人質を助けるために緊急で行った捜索が裏目にでたハリーは、激怒する。
犯人の人権を過剰に重視する司法のせいで、スコルピオは娑婆にでて、かならずやふたたび誰かを殺すだろう。あいつは異常者だ。許しちゃおけない。

上司にとめられながらもハリーは、スコルピオを尾行。案の定、スコルピオはスクールバスをジャックする凶行に走った。

ハリーは今度はためらわずに、スコルピオを撃つ。そして、彼の死体が浮かぶ池に警察バッヂを投げ込む。頼りない司法が許しても、俺の正義が許さないと誓うように。

少年法や加害者の人権が議論の俎上にあがりがちな昨今、あらためて観たいクラシックだ。
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