自分以外の他者、延いては家族であっても奥底の本質までは分かり合えないのだけれど、自分とよく似た生き物なのだから少しでも歩み寄る事が必要、というありふれた主題とそれほど大差は無かったが、”砂糖は控えて、スマホは週末に1時間だけ“という、至極シンプル且つ確定確実な(カンタンではない。。)答えを提示してくる点が巷に蔓延るアーティーに偏らないバランスをもたらしていて良き。テイラースウィフトのプロデュースを経て登場人物たちの周辺を柔らかく漂う優しい音で包むデスナー兄弟(ナショナル)の劇伴と、やや赤みがかった柔らかなモノクロで綴る人々の逡巡、NY,LAの現在の姿、いずれも現在を直視しつつ人間の厄介事にとことん付き合うようなマイクミルズの人間性が今回もダダ漏れになっていたよ。
デトロイトの若者のインタビューで始まる事が何を意味するかも各自意識しなければいけない事柄だろう、世界経済の曲がり角にて。
