甘苦、清濁、人間味というしかないあまりにリアリティが白黒のスクリーンから立ち上がってくる。
映像作品内でカメラを向ける演出って、すごく気をつかうし、見る側も何かそこに緊張感を感じてしまうものだが、今作のマイクを向けるというのはそれとはまた違う味わいがある。
それは上手く言語化できないが、マイクを向けるだけで対象と聴取者、そして観客の間で情報が自然と増幅されていく。まさに、ゲインをゆっくり上げていくような感覚を味わった。
だからこそ白黒で視覚情報にある種制限、というか陰影に強弱をもたらすことで、見る側の能動性を高めることに成功し、さらにタイムレスな普遍性も増している。
物語の点でいうと序盤まんまとこのガキ面倒だなぁと思ってしまったが
その思いもそのまま映画内の起伏に織り込み済というところに感動、と同時に自分の甲斐性のなさ、無理解の度合いに恥ずかしい気持ちに…
最後に、herでも思ったけどホアキンフェニックスはやはり声が素晴らしい。
追記
伯父さんものの物語って親じゃないからこその居心地の良さと’’男’’感をまぁしょうがないよねくらいに楽しむものが多いが、今作は割と居心地悪く、理解ある風だけど上手くいかないシーンがままあるので、ある意味での意趣返しにもなってるなぁなど思いつつ…
