マオ

ミッドナイトスワンのマオのレビュー・感想・評価

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
3.0
「チョコレートドーナツ」のような感じだろうと予想をしていたけど、また別の苦しさのある作品だった。
凪沙さんと一果のバレエシーン、すごくよかった。
なぜかエンドロールでいろんな感情が込み上げてきて、ずっと泣きそうになりながらいろいろ考えてしまった。
映像、音楽共に美しくてよかったけど、なにより草薙剛さん演じる凪沙さんがとても自然体でよかった。勝手に苦手意識があったので今まで彼の作品とご縁がなかったのだけど、引き込まれる演技で草薙剛だということを忘れるくらいしなやかな女性で、“母”になっていく凪沙さんがとても美しかった。
服部樹咲ちゃんも初演技と思えない程の存在感で、踊り始めると一瞬でプロの空気を纏って凄かった。

なんで私だけ?と苦しむ凪沙の痛みの全てを、100%理解する事ができないこともまた苦しいし、確実に愛がそこにあるのにそう簡単に全てが丸く収まらない現実も悲しい。私もみんなも幸せになってくれと願うことは簡単なのに、現実はとても残酷。

赤いヒールをカツカツ鳴らしながら歩く姿が目に焼きつく。
きっと2人で食べたお肉の味とか、あの夜の肌寒さや抱きしめられた時の温もりとか、一生覚えてるんだろうな。
マオ

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