苦しくも美しい映画だった。
シスジェンダーがトランスジェンダーに放つ言動がいちいちリアルかつ残酷で、同じ言葉を何度も繰り返して涙を流して悲しむ姿が印象的だった。
しかし、終盤の再訪から海のシーンは個人的には不要だと思い、それまで夢中で追っていた物語から突き放されて、一気に「作られたまがいもの」のように感じてしまい、評価が下がった要因になった。
不自然さにもモヤモヤするし、くどく感じた。
総じて、演技力が高いわけではないのだけど、どのキャストもあまりにも役にガッチリとハマりすぎていて素晴らしかった。
服部樹咲さんが演じる一果に引けを取らない魅力を放つりん役の上野鈴華さん、凄く良かった。本で読んでもきっと素敵なキャラクターだと思うけど、彼女が演じるりんというキャラクターが文字以上の危うさと絶望を醸し出していて映画をさらに良い作品にしていると思った。
子どもの頃に、ずっとバレエを習ってみたくて、放課後にバレエ教室に通う同級生を内心羨ましく思っていたけど、金銭的な事情や両親の興味などで通わせてもらえなかったことをいまだに忘れられずにいるんだけど、この映画を観て改めて当時の羨ましい気持ちを思い出してしまった。
と、同時にやっぱりバレエってお金が無いとできないというだけで既に選別されているんだなぁと思った。