緑

男の優しさは全部下心なんですっての緑のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

男運がないみこちゃんの話。

当たりな予感が全くしないタイトルなのに
これがえらくおもしろかった!

優しくされる→好きかも! の流れが
執拗に繰り返される。
彼女? 嫁? 持ちの男/彼女ありTENGAでしかイけない男/
追い詰めた結果亡くなった彼女の霊と同棲している男/
嫁と住む家にみこを招いたり
ハメ撮りをアダルトサイトに上げたりする男/
いい奴っぽいけど彼女いそうだわ物言い悪いわの同僚の男。
まともだったのは亡き嫁を思い続ける吉三さんだけ。
しかも吉三さんは50年ぶりに勃ってイッてご臨終。

それでもみこは暗くならないし
無理にはしゃいだりもしない。
淡々と事実を受け止めては新たな恋を探す。
失敗してはまた新たに探す。
前向きさも感じない。
まるで生まれ持った習性のようにこなす。
かといって無機質な感じもなく。
散々な目に遭っているのに
全然スレた感じにならない宇田みこ。

彼女を演じる辻千恵の透明感とかわいさあっての作品。
いやー、かわいい!!
私服でもクマの頭を外した着ぐるみもかわいい。
行動も考え方もかわいい。
でも感じる前に考えろ。

作品の象徴である
メリーゴーラウンドというファンタジックな遊具が、
作品の毒をかわいくファンタジックにラッピング。
後藤まりこの歌は攻撃的だが
声がかわいくラッピング。
登場人物たちがカラフルにメリーゴーラウンドを楽しむラスト。
みこ以外はみんな幸せ。
ラス前にみこが呼び出しをかけた
ハメ撮り男がやってきたかどうかもわからないまま、
みこがアラサーに突入するという
世間的に女性価値が下がる現実エンド。

みこだけに残酷な世界。
嫌いじゃない。
逞しく清らかに荒波に揉まれ続けてほしい。
緑