クジラックス

男の優しさは全部下心なんですってのクジラックスのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

タイトルと予告の内容から、「優しくしてきた(色んなタイプの)男たちが、ことごとく体目当てで、そんな中で主人公は幸せを掴むことができるのか?」って話だと思っていたんだけど、登場する男達の半数が別に「下心で優しくしてきた男」でもないような気がしたので戸惑った。

・開幕の既婚を隠していた彼は、開幕の男として良い役割を果たしている。

・オナホでしかイケないバンドマンは、滑稽さが勝ってしまっている。
優しさっていうか、お互い気が合ってホテルに行ったのだと思うし…

・職場のじいさんは優しかったけど、性的なことに導いたのは主人公からのように見えるし…
(でもこういう映画の男って陰キャ陽キャ問わず細身長身のイケメンなことが多いけど、こういうじいさんを入れてくれたのは好感が持てる)

・飛び降りしようとしていた男にも、優しさを持って交流をはかったのは主人公側のような気が…そして判明する「元カノが幽霊で、リアルにゴーストライターしいてる脚本家」っていう展開が斜め上過ぎて戸惑った。
この男との関係がこの映画のメインのエピソードだと思うんだけど、全体を通してみるとバランスを欠いている気がした。この設定を使うなら独立した作品にした方が良かった気がする。

・後半に怪しげな映画監督登場。この監督は予告を観て予感していたキャラだったので安心して観れた。挿入歌をBGMに、ハメ撮りからの奥さんバレしてあっという間の破局は面白かった。
奥さんと3人で飯を食うシーンは『おんなのこきらい』を思い浮かべた。(ムージック・ラボという映画祭上映作品という共通点がある)

・同僚のイイ男ともなんだかんだで!でもやっぱり他に女いるよね、っていうあっさりとした締めは良かった。

全体を通して観て、この男たちの布陣で行くのなら、やはり「男の優しさは下心」というワードを強調するのは趣旨ズレを起こしているような気がした(映画内でも2回出していたけど)。あらすじなどを見ると「好きになる男にはいつも本命がいるセカンド女子」であることを強調しており、それは映画の内容にも合っているので、タイトルもそちらに寄せた方が良かった気がする。

その他思ったこと。

・主人公役の辻千恵さんは、綺麗だけど幸薄い冴えない一般人に見える空気もまとっており、良かった。他の役者さんも良かった。

・後藤まりこさんの歌の使い方はかっこよかった。

・ロケ地となったメリーゴーランドのあるショッピングモールが栃木県小山市にあるそうで、栃木県出身者としては昔小山ゆうえんちがあった場所って今こうなっているのか!と感慨深かった。メリーゴーランド、着ぐるみ、風船などが象徴的に使われているのは記憶に残るので好き。

・クライマックスで、過去の男達にメール(死んだ先輩のじいさんには手紙!笑)をしたためて、銭湯でさっぱりして、メリーゴーランドで全員集合になるイメージ映像?は、雰囲気重視のまとめ方ではっきりとした感想は言えないけど、なんだか好きなまとめ方だった。