あつぼ

ファーストラヴのあつぼのレビュー・感想・評価

ファーストラヴ(2021年製作の映画)
3.6
【なぜ彼女は父親を殺さなくてはいけなかったのか?】
週刊誌やニュースは殺人事件の犯人が殺人事件の犯人として納得させるような理由を提供し、世間はそれで安心する。理解できないものは怖いから、理解できないものでは安心できないから。
家庭環境が複雑、会社をリストラ、彼女と破局といった納得できるラベルを付ける。「あぁ、だからだ」と自分を納得させる理論を組み立てる。
本当に彼らの行動を生んだ最後の一滴が何かなんて分からないのに。

容姿端麗でアナウンサー志望の大学生が父親を殺した。
世間は、父親に就活を反対され激昂したメンヘラ女・サイコパスと安心したがる。

島本理生作品は、世間からは歪んだ愛の形として捉えられるような人間関係を肯定させてくれる。正義の反対はまた別の正義で、彼女なりの愛にも肯定されるべき理由がある。キラキラ恋愛作品じゃないしかなり消費するけど結構好き。
あつぼ

あつぼ