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由宇子の天秤のsuamaのレビュー・感想・評価

由宇子の天秤(2020年製作の映画)
4.5
近年鑑賞した中でずっしりと考えさせられじっくりと観ることが出来た
公開当時観に行くはずだったのですが、なかなか時間が作れず結局劇場には観に行くことは出来ませんでした…
やっと配信での鑑賞になってしまいましたが、観ました

正義と不義、本音と建前、真実と虚偽などあらゆる沢山のことを天秤にかけては、秤る
自身の仕事にどちら側でもない中立の確固たる信念を貫く由宇子はドキュメンタリーディレクターとしてジャーナリズムで真実追求していくが、いざ自分の身内の不祥事にぶつかれば、保身の為に隠蔽に着地しようとする
真実というバランス関係を保つ為にあるものも、現実に於いちゃ複雑すぎる嘘で固められている
真実というものは都合のいい事象に変わり、もみ消され常に残酷に着地、そんな真実に本当の希望はあるのか?
そんな真実よりも大事な何かはあるのではないか?
様々な事を考えさせられる
事実で立場が悪くなるから生まれる不都合な真実
隠すこともあれば捏造することもあるからこそ、事実は当事者にしかわからない
そして、誰でもいつ被害者となり加害者となるかもわからない
人は結局は社会の評価が怖いもの
所詮、良いように受け止め、好き勝手に意見する、赤の他人いるからこそ
常に自分にとって都合のいい事と自分の持つ人としての正しさ
そんな中で優先順位とか右往左往する姿
纏わりつく危惧に次第に形を変え、均衡は崩れてゆく
やがて重さに耐えきれなくなり機能不能になる天秤
嘘を真実のように垂れ流すことと何もかも省かず真実を垂れ流す
"どっち側"という偏る軸
人間の美麗さや醜悪さの極限が迫られる選択
終劇後も延々と考えさせられ、迫ってくる突きつけられた問い
人間や事象への気味の悪さは際立つ無劇伴で渇ききった生活音からも感じられる
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