あくとる

アントマン&ワスプ:クアントマニアのあくとるのレビュー・感想・評価

3.0
"カーン・ライジング"

一本の映画として、アントマン続編としては残念。
だが、MCUフェイズ5一作目としては最低限の仕事をした。

まず、残念ポイントの方から挙げていくと、色んな意味でとても薄っぺらい。
特に人間ドラマは本当に無味で酷い脚本。
アントマンのそこら辺にいる普通のおっさん(ダメ人間寄り)なんだけど娘のために戦うという一作目のいい意味でのスケール感の小ささ、世界を救うという他のヒーローとの違いが大好きだった自分にとってはとても残念だった。
困難が訪れてもびっくりするほどあっさり解決する。
反乱軍との交流も浅すぎてラストの展開も盛り上がらない。
こんな脚本家に『アベンジャーズ:カーン・ダイナスティ』を任せるのはとても心配。
またビジュアルに関して量子世界の世界観はもろにスターウォーズ過ぎて既視感バリバリ。
異世界のビジュアルの引き出しが無かったのを痛感させる。
ヒーロー映画には必須とも言えるバトルアクションもいまいち光るものがなく、ハイライトが来るのを期待したまま終わってしまった。

というふうにダメな点はかなり多い映画だが、征服者カーンの紹介としては十分な仕事をしている。
ぶっちゃけ本作は『カーン Feat.アントマン&ワスプ』なバランス。
フェイズ4の個々の作品は好きだが、指パッチンの余波の話と「マルチバースがOKになったのでこんなことやってみました!」ばかりで全体としては全く先に進まなかったのが残念だったので、やっとMCUの大きな物語が始まったのは良かった。
カーンの理性的だが狂ってるキャラクターは斬新とは言えないが良い。
だが、まだ本気を出してないのだろうが、サノス級ならアントマンを殺してしまうくらいの圧倒的な強さを発揮しても良かったとは思う。
まぁ、深みを感じさせるのは今後だろうから期待。

最近3時間近い映画が多くてツラいのだが、この映画は圧倒的に尺が足りてない。
その意味ではMCUのドラマ枠で時間をかけてやるべきだったかなと。