エルヴィスのことは代表曲を数曲知っている程度であまり良く知らなかった。今作でこの偉大なロックスターのことを知るにつれて、何故あれほどまでに熱狂的ファンが多くいたのかという事が少しわかった気がした。
黒人音楽の中で育った白人。それは唯一無二の存在であり、ゴスペルとカントリーの融合という、当時は彼にしか出来なかった音楽であったのは間違いない。一気に世界のトップまで登りつめ、そしてまた世界がそんな類まれなる才能を殺す。
この壮絶で激しい音楽ビジネスシーンを煌びやかに外連味たっぷりに描くバズ・ラーマン監督はさすがである。そしてオースティン・バトラーの魅力ある演技にも拍手を送りたい。近年レジェンドミュージャンの半生を描く作品は多いが、今作は中でも頭ひとつ抜けた良作であったと思う。