JIZE

tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!のJIZEのレビュー・感想・評価

3.8
90年代のニューヨークを舞台に最高のロックミュージカルをつくるコトを夢見る青年の奮闘を描きだす。希望の物語。もっとミュージカル劇に徹した超現実のデフォルト寄りの作品かと想像してたが、ドラマ面も意外としっかりとつくりあげていて、人生というメロディがあつく交錯する。またフィルモグラフィでのアンドリュー・ガーフィールド主演の前回『メインストリーム(2021年)』ではSNSの駆け引きを主柱に、全方位で一歩逸脱した人間の素性や本質をまざまざと映し出す芝居を魅せたが、今回は飛躍させ過ぎず等身大の青年の葛藤や想いを見つめてゆく。両者"人生を駆け上がる"というフォームでは対を成しているが、アンドリューの説得力をもたせた芝居により振り幅が効いている。全編 創造する日常と人生の讃美は、いうに及ばず軽やかでいて華麗。この勢いのままあの作品にアンドリュー版ピーターがカムバックすれば燃え尽きそうです。近年のガーフィールド主演史上の作品でも、彼自身の魅力と資質が凝縮された映画である。
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