Ryk

tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!のRykのレビュー・感想・評価

3.7
30歳を目前にして何者にもなれない自分。日に日に募る焦燥感。ミュージカル『レント』も観たことがないのだけれど、アンドリュー・ガーフィールドの演技の評判が良いのでアカデミー賞授賞式の前にNetflixにて試聴。

大学を卒業してから8年間打ち込んできたミュージカル脚本がようやく完成し、批評家や有名な作家を呼んで試演すると評判も上々でこれでようやく売れる!と思ったら「次の作品を早く作ってね」と励まされ、奈落の底に突き落とされるような感覚に陥る。創作は永遠に繰り返されるなにかを作り出すことの苦しさと地味な日々の繰り返し。これはSoul(『ソウルフル・ワールド』)でも描かれるジャズピアノでは食べてはいけないとミュージシャンを諦めて音楽教師になった主人公が、ジャズクラブのセッションで唯一無二の高揚感を得た一方で、これが延々と繰り返される日常であることに絶望感を感じるシーンと似ている。切ないんだけど励まされるような思い。地味な作業こそ頑張ろう。
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