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鬼火のKのレビュー・感想・評価

鬼火(1963年製作の映画)
4.7
人生自体は悪くない、ただ軽蔑するものが多すぎる。

誰かに救われたくて旧友に会って話をする。しかし、救われないことを知るだけ。丁寧なアランにとっては、すべての人が粗雑に見えるのだろう。

平凡なんてつまらない。それなのに多くの人は平凡になることを受け入れる。目の輝きを失っても、希望を失っても、青春を失っても、安定を求める。それが大人だと言い聞かせて。

「相手をつかまえて、手放さず、縛りつけたかった。そのままでいたい。僕は愛されたい、僕が愛するように」

アランは、狂ったように救われたいと願う。その態度に深く共感する。エリック・サティの音楽が、彼の哀しみのように聞こえてくる。

私も、最期にフィッツジェラルド短編集を読もうかな。
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