このレビューはネタバレを含みます
ただひたすらにしんどくてこれ程まで
笑顔を見てキツくなることはない。
繰り返されるごめんねと笑顔。
自分よりも自分の感情よりも先に他の人の意見や感情を優先してしまう主演のDEGさん。自分の感情が先に出てしまう私からしたらもっと、その時思ったことを言ったらいいのに!と思ってしまうが、その場を丸く収めて相手の感情を優先してしまうことが頭で考えるより先に笑顔として出てきてしまうのだろう。
だからこそDEGさんには音楽が必要で
音楽で音が自分に入ることで自分のうちに秘めた言葉が出てくるのだとセッションして涙を流しながら歌う印象的なシーンで強く感じた。
うまく表に出せないからこそ音楽で自分と向き合う。だから最後、自分のために歌う結婚式のシーンは音楽への関わり方の一つの答えのような気がした。
何かを表現する人はどこがで伝えたい強い確固たる想いがある人だと思っていたけど
そんな強いものがある人の方が少なくて
日々感情や自分そのものを出せない多くの人に自分を出せない立場から伝えられることができるの何かはあるのではないかと思った。
安楽監督と幼馴染で長い付き合いだからこそ、ここまでの内面を映し出せるのだと感じた。フィクションとノンフィクションの間のリアリティさがあって、人間の実在感が強く出ている。物語である感じが薄いので見え方も全然違ってくる。
映画が好きな理由の一つに映像に載せた何かを見ることで、その人を知ることができ、それはまるで対話している感覚を味わえる点があるが、ここまで実際にあったようなリアリティさがあってドキュメンタリーではない物語があるという矛盾感ははすごく面白い。近くの人しか知り得ないことを映像で見られれる。
DEGさんはこの映画を撮った時のことは辛すぎて覚えていないとのことだが、ここまで曝け出してくださって、それを丁寧な映像で撮って下さった安楽監督に感謝したい。
DEGさんが安楽さんに好きな人のために歌うからPVを撮って欲しいとお願いする
2人の空気感が大好きだったし、
そこで出てくる今しか撮れないものを撮りたいというようなすごく素敵なセリフが強く残った。
一瞬の今を切り取ってその時に大事にしていたことを映像として残して永続性を持たせるなんてそれを見せてもらえるなんてこんな嬉しいことはないなと思った。
舞台挨拶付きで夢半ばで出ている方、総出で嬉しかった!トークも笑いが絶えず面白かったです!安楽監督にも面白かったとお伝えでき、サインもいただけて良かったです!