七詞睡眠

眠る虫の七詞睡眠のレビュー・感想・評価

眠る虫(2019年製作の映画)
1.3
この感想が俗でいやな表現だと感じるひともいるかもしれないです。すみません。



金子監督とゆっきゅんさんのアフタートーク付きの上映を鑑賞しました。

映画そのものは、見ている段階では正直よくわかりませんでした。
でも、監督の話をきいて、圧倒的なフェティシズムを理解することができ、そのうえで映画について考察すると、納得できる部分が多くありました。

簡単に言うと、この作品は映画というより、監督にとってのエロ・ビデオであるということです。
でも体裁的には映画だから、申し訳程度に観客に寄り添って、ささやかな映画的要素として、登場人物や設定やストーリー的なものが展開されています。
だから話がすごくわかりにくいです。
主人公も、普通の若者なのか、頭がおかしい人なのか、奇を衒っているのか、わかりませんでした。
そんなふうに人間の描写をしっかりしていないのに生き死にの話をするのも、リアルな感覚が伴っていなくて、「死」とか言いたいだけみたい、不誠実だ、おこがましいとも思いました。
トークを踏まえて、監督は森羅万象・諸行無常が好きなんだな〜というふうに捉えたし、だからたぶん役者さんの少し不自然なお芝居とかカメラ見ちゃってる子どもたちとかを許しちゃったんだと思ったのですが、映画ならもっとちゃんとこだわったほうがいいと思いました。なんとなくオフショット感というか学芸会のホームビデオ感が強くて、監督の好きな感じには仕上がっているのだろうけど、映画としての完成度はすごく落ちてしまっている気がしました。

わたしはアフタートークをきいて監督のことが好きになったし、監督の好きなものの話をきいてわくわくしたけど、本当は映画のなかで、そういう気持ちになりたかったなと思いました。

だから、どっちかにしてほしいです。
監督の好きなものを撮るなら、主人公はきっと人間ではないもの・または監督自身なので、映画としてのプロトタイプは無視してもっともっとどこまでも置き去りにしてほしいし、
映画(物語)をつくるなら、もうちょっとわかるように教えてほしい。

どうして映画のかたちをとりたいのかわからなかった。無機質な物体の魅力が、うまく映画の中の人間たちやストーリーと結びついていないと思った。

思い出の場所の石とか絵とか、その場所そのものが持つ記憶とか、そういった、監督が伝えたい「好きなものの魅力」の部分には、とても感動しました。

家に帰ったら21世紀の女の子のパンフレットも読み返してみようと思います。
七詞睡眠

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