福福吉吉

力道山の福福吉吉のレビュー・感想・評価

力道山(2004年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
1945年、貧困から脱するために祖国を離れて日本にやってきたキン(ソル・ギョング)は「力道山」として活躍し、綾(中谷美紀)を妻に迎える。しかし、横綱への昇進が絶たれた力道山は絶望して酒浸りの日々になる。そんな中、力道山はプロレスと出会い、プロレスラーになる決意をする。

◆感想◆
日本にプロレスを広めた力道山の半生を描いた作品であり、フィクション作品として力道山の波乱万丈な生き様とともに彼の激情が伝わってきました。

力道山は並外れた精神力の持ち主で一度決めたら頑として動かない性格とともに思いどおりに行かないときの荒々しい感情の動きが印象的な人物として描かれています。日本統治下の朝鮮に生まれ、日本に渡ってきた力道山が生き抜くには強固な意志が必要だったのだろうと思います。力道山役のソル・ギョングは日本語が上手であり、時折カタコトになる部分が力道山の朝鮮人の部分を表している感じがして良かったと思います。

プロレスの世界に飛び込んでからの力道山は朝鮮人の顔を捨てて「世界人」として日本にプロレスを広めようとします。力道山としてプロレスで成功する決意の固さ、それでいて有名な柔道家をパートナーにして有名になる算段の良さが現れていてとても面白かったです。

その一方、一躍有名人になった力道山が孤立していく流れも切なくて、「負け」を受け入れられない力道山の頑固さが現れていて良かったです。

本作には実際のプロレスラーが多数出演していて、プロレス好きなら所々で出てくるプロレスラーの演技が楽しめると思います。しかし、橋本真也が後日、プロレス転向する展開とはいえ、相撲の横綱役で出てきたときは笑ってしまった。

力道山の熱い感情がしっかり伝わってくる作品になっていて良かったと思います。

鑑賞日:2024年1月16日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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