Daisuke

バビロンのDaisukeのネタバレレビュー・内容・結末

バビロン(2021年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

見終わった後もずっと胸ぐらを通り越して心臓を掴まれている。アツい。アツすぎる作品。

映画が好きでたまらない人を賞賛する映画。
映画は見るけど別にそこまで好きじゃないって人は、多分好きにならない映画。笑

「大きなモノの一部になりたい」
その一心で駆け上り、堕ちていく登場人物たち。この監督、音楽とカメラワークで喜怒哀楽を表現する達人、というか仙人なのでは。

ジャックが序盤、「進歩を止めてはいけない!上の奴らはそれを分からずに未だ古典を撮り続けている!」って言ってて、これが彼の成功の鍵であり、ポリシーであり、精神であり、そして呪いになるのがリアル。
自分の考えが時の移り変わりと一緒に変わっているのに、追いつこうとして、その気持ちを縛って心の奥底に直してしまう切なさ。ジャックが後半から見せる焦りや哀愁の演出がパーフェクトすぎて最後は、もう、泣きそうやったわ。

マニーとネリーも素晴らしかった。
成功、挫折、堕落、を辿っていくネリー。
それでも愛するマニー。
この2人から始まった物語やけど、実はこの2人は主人公なんてものじゃなくて、ただの大きなモノの一部でしかない彼ら。夢が叶っている、恵まれているのにそれに気付かくなっていくんだね。人生ってそうなの?わかんないけど。こういう痒いところに手が届きそうで届かない人生のドラマチックで切ないところ描くのうまいよね〜。




最近、劇場は死なない!映画は死なない!っていろんな製作者が発言していて、そういうメッセージを持った作品も増えてきている気がする。
確かに、満席の映画館なんて、もうずっと見ていない気がするし、そもそも映画が大好きでたまらないって人たちで埋め尽くされた映画館なんて体験したことがないかもしれない。

確実に映画は劇場からストリーミングの時代に突入していて、劇場体験を望まない人も増えているのは事実。

だけどそんな時代の中で、「バビロン」のように、劇場映画はぜってえに死なねえかんな!って高らかに宣言してくれる映画があって、本当に良かった。

最後の観客をなめるように映すカット、ずるいわ〜。泣けた。

本当に良い作品でした。
Daisuke

Daisuke