椎良

バビロンの椎良のレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.0
再投影

〈あるパーティから全ては始まった。映画制作に憧れる青年マニーは女優志望のネリーや一流俳優ジャックと出会い、華々しい世界へと踏み出す。
彼らはそれぞれ注目の的となるが、映画界には変化の大きな波が訪れる。〉

ドルビーアトモス(初)で鑑賞。序盤の乱痴気騒ぎや音楽に包まれる感覚がヤバい

素晴らしき夢への狂熱を、かたや血が滲む叩き上げの応酬、かたや妥協を迫る現実からの逃避行を通して描いてきたチャゼル監督。そんな彼が今作で描いたのは、人を飲み込んでは吐き出す栄枯盛衰。やや過激な描写も含め作品としてのテンポは止まることを知らず、監督自身の作り手としての狂気と無常観を込めた力作!!
前半はギャグテイストであるが、中盤から徐々にシャレにならない事態へと進んでいき、終盤は半ばヤケクソ。夢と現実の間での葛藤をこれでもかと描くのが監督らしさ。ある人物が暗闇へと消えていくシーンや、映画を観て心を動かされる全ての人に寄り添ったラストがとても好き。

微妙な部分は、予告で良いところ見せ過ぎでは?と思ったのがまずひとつ。主人公3人組が時間をかけ没落していくので後半は見てて辛気臭いのがふたつ。あとは主に上映時間と描写から人を選ぶってとこかな〜 ラ・ラ・ランドを期待するとヤバい目に遭うぞ!

マーゴット・ロビーがいかにも彼女らしい役柄。とち狂った女以外の役も増えて欲しい気持ちはあるが良い
ブラピの奔放さと重厚さを併せ持つ演技も良い。個人的にはトーキーでの鬼監督?の叫びも迫力あったな

小さな悲劇と喜劇は誰にも気付かれぬまま、無数に積み重なって歴史となる。
映画賛歌の作品としてはかなり好きな部類かもしれない。
椎良

椎良