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バビロンのJotのネタバレレビュー・内容・結末

バビロン(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

超感動。こんなに衝撃を受けたのは初めてかもしれない。自分が映画が好きなのは、映画の歴史そのものが好きだからというのがあるなと思った。


最近100年前のサイレント映画とかを観るのにハマっていたので、当時の撮影の雰囲気を想像できて楽しかった。流石に誇張しすぎではあったけど、字幕の撮り方とか、俳優のスター感とかは本当にこんな感じだったんだろうなと思った。セットや衣装はカラーにする必要ないしどうだったんだろうと思っていたが、ちゃんと色付きの小道具、大道具なのがわかった。

そして時代はサイレントからトーキーへ。
予告を観た時から”雨に唄えば”に似てるのかなと思っていたが、まさかのしっかりそこに繋がるストーリーなのがやばかった。
音を同時に録っていたがための収録の難しさ。全然進まないのが笑えたけど、そりゃブチギレるのも仕方ない。その分成功した時にみんなで大喜びするのが超良かった。暑い中で頑張るカメラマンさんが1番キツいって事も分かる。

ジャバの宮殿みたいなギャングの城を逃げ出してからハラハラが止まらなかった。
下品なパーティのシーンは多いが、マニーのネリーへの愛は最初から純粋で一途なのが良かった。レディフェイとかも超かっこよくて惚れる。ただネリーだけは…、。トーキーの登場で上手くいかなくなってくのは可哀想なんだけども。
あとシドニーめっちゃ好き。


タイトルのバビロンってのは、かつて世界一強大だった都市。しかし彼らは、油断した一瞬でペルシャ軍に侵入され崩壊した。たけきものもついには滅びぬ。無声映画によって輝きを得ていた人達がトーキーによって滅びていく様とよく似ているのかもしれない。
世界で一番魔法を感じられる場所として紹介され、どーんとバビロンというタイトルが出てくるが、そこで輝いていた人もやはりバビロニア人と同じ運命を辿る事になるという映画だった。

最後の映像からは、その後も映画は変化し続けていった事がよく分かる。よく見る走る馬や、列車の映像から映画の歴史は始まった。ジョルジュの”月世界旅行”からSFは始まる。その後SFXが流行り、次第にCGも主流になる。落ち着く暇もなく時代は目まぐるしく変わっていく。
それについていけなかったひともいるだろう。それでも映画で輝いた人々は、誰かがそれを再生するたびに生き返る。昔の映画を観る時特有のワクワク感はそういう魔法のような力のおかげなのかもしれないと思い、とても感動した。

映像の撮り方、音楽、全てが最高。俳優も豪華だし、あっという間の3時間。映像のノイズ、フィルムの傷、色収差とかも所々昔風になっている気がしてとても良かった。音とかも本当に同時収録してるんじゃないかと思わされる味があった。カメラの振り方とかはララランド感。

終わり方は”ニューシネマパラダイス”味もあった。ただの好みだけど、[映画館で映画を観てるひと]を映画館で観るのなんか好き。映画館で観て本当に良かったと思える、映画映画だった。

暫定今年一位。
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