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バビロンのatsushiのレビュー・感想・評価

バビロン(2021年製作の映画)
4.3
ハリウッドの黄金期前夜、サイレントからトーキーへの過渡期にふるいにかけられた映画人達の鎮魂歌。いや、ハリウッドの100年を貫くハリウッド讃歌。

映画史を語る時、通常トーキーの始まりは『ジャズ・シンガー』ということになります。本作の劇中でも描かれる通り、『ジャズ・シンガー』が世の中に与えた衝撃はそれは凄かったでしょう。しかし、衝撃を受けたのは観客だけでなく、映画人達も例外ではなかったのです。それは今作でも引用されている『雨に唄えば』を観れば分かります。トーキーの波について行けず、失墜したスターや字幕者、技術者達がいた事実は多くの歴史書に書かれている通りです。

デイミアン・チャゼル、とにかく、どこもかしこも長回し。リッチな画とお下品なシーンの応酬。快活な音楽とリズミカルな編集。もうこんなに楽しい映画はない。

"長く続くものの一部になりたい"

映画が好きだという初期衝動に立ち返る台詞。我々映画ファンもその"一部"に入っているでしょうか。

2023/2/18 1回目
【2023年47本目】
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