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明るい部屋
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『明るい部屋』に投稿された感想・評価

ロラン・バルトのタイトルをそのまま引き受けた挑戦に相応しい、静かなる野心と情熱に溢れた映画。
宮崎あおいに似た小山田サユリに鼻歌を歌わせながら窓掃除をさせることで、彼女の登場を描いてみせる。日常的動作の中に女優の品を見出す才能に呆気にとられた。「明るい部屋」というタイトルの通り、昼間の光がいっぱい差し込む大きな窓のそばに無言で立つ(座る)小山田サユリを捉えた撮影はただ固唾を飲んで見守ることしかできない。そうした彼女を取り囲む明るい光に対して、妻がいなくなった男の画面はとことん深く、暗く沈む。
冒頭の車に取り付けたカメラが捉えた景色は、運転席からの主観ショットから運転席と助手席に座る男たちの背中側からの切り返しに転じたあと、サイドの窓外に広がる煙突(川崎辺り?)から吹き出す煙と、その辺りを低空飛行する飛行機、そして最後には後部席から撮影した後方窓外越しの道路へと見事な画面の運動を意識した連鎖をしながらも、そこでの画面の暗がりが一つ一つのカットを重たくし、カットとカットの間に歪を生み出す。

そもそもこの映画の本当の冒頭でリュミエールよろしく駅に到着する電車のワンカットを終えた直後に、恐らくは家を出ていく妻の顔を切った(正確には鼻から上を切った)短いインサートが差し込まれ、3カット目には長い踏切を待つ小学生の女の子の後ろ姿のロングショットと4カット目にその彼女を見据えた正面カット、そして導入部のラスト5カット目と6カット目に、駅のプラットホームで何らかの画面外への異変を察した中学生の女の子たちが画面の外へと目を配る光景があまりに丁寧且つささやかに描写されたこと自体に、核心をズラして世界を描写しようとする合田典彦の優れた知性をこちらはそれとなく察しながらも、確かな強度で接続された断片的な画面を見続けるに徹するしかないことを悟っているからこそ、物語の本筋であるにもかかわらず、妻が消えて戻ってきたこの男が現れた先述した車内の場面が、そこで語られるセリフ以上に画面の不穏さに満ちていたとて、それは至極当然だと受け止めるしかない。

暗く沈んだ男と光を引き受けた家政婦のヒロインが通常の説話からいうとあまりに長い時間を経てついに対峙する時、2人がいとも簡単に次の場面では暗がりでセックスしていたとしてもそれもまた2人が抱えている光の時間そのものを考慮すれば当然だし、その翌日に美容師志望の家政婦が男の長く伸びた髪を明るい庭で散髪するのも当然だ。なにより、この庭での散髪の描写の丁寧さにこそ驚かずにはいられないのであって、髪を切るというこれまた日常的な生活の枠組みに属しながらも映画においてはあまり描写されてこなかった行為に官能性と活劇的なよろこびを見出したこと、その目の配り方に静かに喝采を浴びせたくなる。

スタンダードの見事なフレーミングに目を奪われてしまうが、合田典彦はどちらかといえば神代辰巳的な人間の運動を記録できる素質の持ち主なんじゃないかと思う。
寒空の下、家の2階から服を外に投げ落とすことから始まる男女の攻防を捉えたシーンのダイナミズムはまさにその証だと言いたくなる。ちなみにこの場面では愛人関係となった男女の愛おしいムードを転調させるものとして、ラジオのノイズ音と共にロシアの人工衛星が回収不能であることを伝えるニュース音源がオフの音声として流れつつ、部屋の中から庭外のヒロインを捉えた映像で締め括られるのだが、何者かによる外部の眼差しの導入をこれまた的確且つ然し歪なカメラポジションが選択されており恐れ入る。

終盤、同じベッドで寝ながらも遠くから聞こえる列車の音に耳を澄まして目を覚ます男と、彼に背を向けてカメラへ向け目を開くヒロインが描かれた直後、ついにバルトよろしくPENTAXのカメラによる記念撮影(撮られる側に切り返すことはなくただカメラが映されるだけ!)が行われる時、ようやく映画は説話を取り戻したかのように「あなたが一緒に住んでいた女の人ってだれ?」という声がオフで響く(そしてこれに対する応答の切り返しもまた排除される!)。

このときのカメラに映っていたのは誰だったのか?ひょっとするとこの記念撮影は一緒に住んでいた女を呼び戻すためのものだったんじゃないかという気さえしてくる。
家の外のレストランで会合をきっかけに、それっきり男は明るい部屋に戻らなくなるが、ラストカットで全てを打ち破るように映画の冒頭で顔を切られていた、かつてこの部屋で男と暮らしていた女が当たり前に横たわっているし、一度もそれまでタバコに手をつけてなかったはずのヒロインが慣れた手つきでタバコを吹かしていても、全てはあの記念撮影が導いた時空間の変容だとすれば納得できる。

処女作で時間感覚そのものを捉えることに本気で向き合い(それは堀禎一に先行する)、その成果をそれとなく提示するこの映画の存在は恐ろしくもあり、チャーミングだ。

最後に付け加えるなら、縦の構図を意識したローアングルでの撮影とインサートの接写によって画面を繋げていく抜群の編集の運動センスも必見。