ステップのどうたく66のネタバレレビュー・内容・結末

山田孝之が出てるから観たという感じでそれほど期待していませんでした。いい意味で裏切られました。

びっくりするような展開があるわけでもない。壮絶な人生の展開があるわけでもない。しかし幼い娘を残して母親が他界した家庭の父と娘。その10年間をたんたんと描いてかなりやられました。何回も泣かされました。

こういう人を思いやるような、家族を愛するような人生を自分は通ってこなかったなと思うと同時に、幼くして母親を亡くした娘の気持ちを想像すると何かどうしようもなく愛おしいと思えてくる。

山田孝之の抑えた演技が素晴らしい。広末涼子の演技も素晴らしい。子役の人もたんたんと自然と演技しながら、気持ちの陰翳をあらわしていて、物語を成立させていた。

低予算でも人間の感情の襞を描くようなこういう映画が日本映画の目指すひとつの方向なのではないかと感じました。