EDDIE

アンテベラムのEDDIEのレビュー・感想・評価

アンテベラム(2020年製作の映画)
3.4
古き黒人奴隷制度。
現代の黒人の立場。
夢と現実でリンクする。
白人支配時代の再現、まるで現代版“マンディンゴ”?
この映画には仕掛けがある。
スリラーとしては求めていたハラハラ感は足りなかったけど、後半の畳み掛ける展開は楽しかった。

ここ最近で自分は結構スリラー映画が好きなんだと再認識し始めたところで目に入ったのがこの作品。
『ゲットアウト』や『アス』のプロデューサーであるショーン・マッキトリックが製作に名を連ねているのが売り文句。
まぁジョーダン・ピール監督・製作でないって点が肝ですが、やはり作家性みたいなところはそこまで投影されていないかなと。

なんとなく演出面で似ているところはあったものの、『ゲットアウト』や『アス』にあった悍ましさが足りません。
一応ジャンルとしてはスリラーと書かれていましたが、個人的にスリラーとして観に行ったら少し肩透かし食らっちゃったなって感覚。

ただ冒頭の長回しの不穏さとかはとても良くて、導入はパーフェクトでした。
そんな引き込みは良かったものの、映画の仕掛けが割と早い段階で予想できたのが残念。
まぁこれは構成のせいですね。

黒人奴隷制度時代のパートと現代のパートを交互に見せるのが、本作ではちょっとマイナスに働いちゃったかなという印象。

とはいえ、そんな“予想通り”な展開でも終盤の一連のシーンはとても楽しく観れました。
クライマックスを観るためにこの映画を観に来たと言っても過言ではないし、それだけでも価値があるかもしれません。

冒頭に例に出した『マンディンゴ』のように、黒人奴隷に対する非人道的な仕打ちの数々は目を背けたくなるものが多いので、そんな虐待シーンなんかが苦手な方は避けた方が良いでしょう。

※2021年新作映画167本目
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