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とらんぷ譚のプレコップのレビュー・感想・評価

とらんぷ譚(1936年製作の映画)
4.9
器用なものを器用に見せる、鮮やかなお手並み!

ペテン師が回顧録を執筆中。落語のような一人語りはトーキー時代に活弁いらずのサイレントを製作することが可能であると示した。

落語と色物の奇術を同時にこなす寄席芸人、サッシャ・ギトリは手始めに11人を消す。そこからは「スタードッキリ㊙️報告」みたいなリピート編集や変装ショーなど映像のマジックで観客を惹きつける。

白眉は後半のイカサマシーン。手元の鮮やかさを観客にだけ伝わるように見せる様々な演出手法は映画的にスマートでとても器用だと感じた。

終盤、人情噺なんかも交えつつ「おあとがよろしいようで」と言わんばかりにオチをつける。そして、鮮やかに緞帳をおろすのであった。
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