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老後の資金がありません!のmanacのネタバレレビュー・内容・結末

老後の資金がありません!(2020年製作の映画)
2.3

このレビューはネタバレを含みます

体面を重んじ葬式は盛大にやるべきでありその資金は自分の子供が出すのが当然と思っており、自分の蓄え以上のクレジットカードを切って平然と息子に金を無心する姑を持ち、夫は人柄の良さだけで生き抜いてきた現実感覚0、成人しても親に聞かないと祖父の葬儀に参列すべきかどうかも分からず、年収150万円の自称ミュージシャンとデキ婚した挙句に豪勢な挙式を親の金で挙げるのが当然と思っているフリーター娘を持つ主婦のドタバタ劇。

馬鹿な親が馬鹿の子供を作り上げ、その子供が更に同じくらい馬鹿な子供を作り上げた結果のお話。
娘の真由美の非常識ぶりは「イマドキの子」というより、完全に親の育て方の問題でしょう。特に知能に問題があるようにも見えなかったし。

夫の失業は20年音信不通状態だった起業して成功した友人からのお声がけによりあっさり解消、馬鹿な娘は突然改心し格安手作り婚にすることに決め(というより多分安易にそっちのが素敵と閃いただけ)、ローンの残るマイホームは売却しシェアハウスに住むことで金銭問題も解決。

テレビで放送していたら見てもよさそうな、かるーいコメディ。
特筆すべき点はないものの、こういう作品も悪くはない。


何もかもが非現実的なおバカコメディだったけれど、シェアハウスについては将来あり得る選択肢の一つかもしれないと思った。
今の日本では親のお墓や家を持て余す二世が多いと言う。

オランダやノルウェーでは、老人ホームに学生を住まわせる試みがなされている。
学生は格安(または無料)の賃料で学生生活を送れ、さすがに介護まではしないものの学生と老人の交流によって職員の手間が大分省けその労力を他の労務に回せると言う一石三鳥くらいのメリットがあるらしい。
インタビューによると老人は学生との交流を楽しみにし生き甲斐を感じているようだし、学生は老人から学ぶことも多いという。特に死について学んだと言う。
真由美もこういう環境にいれば「アタシもおじいちゃんのお葬式出ないとだめなの?」なんて言う人間にはならなかったろう。

荒唐無稽な喜劇のように見えて、意外な社会問題への解決の糸口が描かれているのかも。だとしたら奥が深いぜ!
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