とも

星の子のとものレビュー・感想・評価

星の子(2020年製作の映画)
4.2
※めちゃくちゃ個人的な事情をもとにした感想文なので書くか迷ったけど、なんか誰かに知って欲しいなって思ったので書いとく。

高校の時、クラスのみんなの前で友達に「お前が行こうとしている大学はおかしい、危ない、だまされてる」って大きな声で言われたことを思い出した。辛くて、逃げ出したくて、大きく大きく目の前が揺れたのを思い出した。
自分が周りのみんなと違うのは気づいていたし、何が違うのかも知識として知っていた。ただその差が、表面的に現れたことはなかったし、それに悩むことも、それまでなかった。その人は、本気で俺のことを心配していたのかもしれない。もしくは、ふざけ半分だったのかもしれない。ただ、自分にとって、それは人生における危機以外の何物でもなかった。
親が人生を賭けて、時間を積み上げてきたもの。それを否定しようとしていた時期は確かにあった。親の人生を否定することは、自分の人生も同じように否定するということで、とても苦しかった。けど、それが正しいんだと思って、頑張って否定していた。家族から逃げ出したいと思ったし、自分は自由じゃないって思ってた。
ただ、ある時から、そんなことする必要のないことだってわかった。もがく必要もなければ、苦しむ必要もない。親の人生は親の人生で、自分の人生は自分の人生だっていつからか気づいた。でもそこまで辿り着くのには、大きな時間がかかったし、今でも本当にそこに辿り着いているのかはわからない。人生の終盤を迎えても辿り着かないものなのかもしれない。
一つ言えることは、周りの人から見たら、普通か普通じゃないかで分類してしまって終わりなものであっても、当事者にとっては大切な唯一の家族であって、そこに愛はあって、確かにそこで前を向いて一生懸命に生きているってこと。一つ一つの意味についてわからなかったとしても、それを否定されることは、違う。それは許せないことだ。

そういうことについて、同じように悩む二世信者(私は四世)たちがこの世にたくさんいて、そのテーマに真正面から向き合った映画であった。見ているのは辛かったが、改めて考えが整理されていくようで、スッキリした。よく作ってくれたと思う。
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