外面

星の子の外面のネタバレレビュー・内容・結末

星の子(2020年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

全然泣く映画じゃないけどふっと何箇所か泣けた。先生に怒鳴られた後とか。
南先生に言われた後の男の子天才だった。泣いていたらすっとハンカチをくれる人も、両親をカッパだと思ったって和ませてくれる人も、男の子は風邪をひかないって言ってそれは馬鹿だからのくだりで両親を馬鹿だといわないことも、それを特に男の子が考えずに発しているところに泣けた。私にはそんな友達いるんだろうか。中学生は純粋な凶器を持ち合わせてるのにあの歳であんなに完璧な友達いないよ。

泣いている演技子役の芦田愛菜すぎてハッとした。けどもっと自然にできそう。子役の癖が抜けてない?とも思った(黙れ)。

外国の少年の絵を書いてたって助けてくれた女の子、本当によかった、それが純粋なのか助け舟かはわからないけどとてもよかった。救われた。

教室の授業シーン、寝てる人2人くらいいないとリアリティない。エキストラも目立つ。

宗教を信じてないから結局理解はできなかった。けど、病気の家族がいて、その心の支えにはしてしまう気がして怖くもなった。父親が癌患者になって初めて、信仰に救いを求める気持ちがほんの少し理解できる。どうしようもなく不安な時って目に見えないものにすがりたくなるよな。目に見えないものを目に見える形で救って欲しくなるんだよな。
ただそれを子供にも伝えるのはどうかな。もっと広い目で見て、視野を広げてから信仰出来るようにしないとしんどいだろうな。昔よりボロくなった部屋、見てられなかった。

映画館で見なかったらついていけなかったから映画館で見るという制度はすごい。家で見てたらだらけて面白さ伝わらなかったかも。同じ空気感で見れてよかった。

保健室の先生のこれは風邪ですか?の答え、適当な風邪じゃない?じゃなく、一瞬で答えを考えた返答でよかった、溜めすぎず普通のテンポだけど考えが見えた。多分伏し目?がそうさせてた。

ラスト、一緒に星を見れるカットでよかったしそれまで頑なに星と3人をうつさないのもよかった。まだ見えないか、のお父さんの一言に全てが詰まってた。それは気付いた人から変わっていくっていう黒木華の言葉にも繋がるし、親とすれ違うことの中で立ち止まらないとずっと行ったり来たりしちゃうよって、一生会えないよって話にも繋がると思う。ていうかそこのシーンの言葉、よかったな。

大浴場の時間気にしてたのなんで?芦田愛菜はいっとったやん、と思う。

親がそうなってて、芦田愛菜はそれを噂に惑わされず考えてて、自分を確立する中で宗教との立ち位置を見てたんだな。話の中で明確な答えはなかったし、煮え切らないラストに疑問を持つ人もいるかもだけど、綺麗事で終わらせてなくて好感だった。フィクションのように何でもかんでも思い通りにはならないよ、いきなり両親が目覚めることもないだろうしお姉ちゃんが帰ってくることもない。けどそれが間違いなく現実なんだなあ。宗教を肯定も否定もしてなくてよかった。目覚めるラストだと信仰者が救われないもんね。

なべちゃんと2人で教室で向かい合う時の光の入り方が天才だった。あの空間にいたい。写真に映らない映像のあの空気感が好き。写真と動画の大きな違いはそこに流れる空気が見えること。

学校って綺麗にエモくえがかれすぎて戻りたくなるけど私には向いてないなって同時に感じる。狭くて価値が統一されているのは耐えられない。

脚本の言葉が1つ1つ刺さると思ったし伝えようとしてる感じ凄かった、これは多分原作の強さなんだな。原作読んでないからわかんないけどあのシュール?な映像とか集会の不気味さ?とか合唱の感じとか映像だから意味があるな。倍で伝わる。

姉まじで演技が自然で強かった。その人本人だった。コーヒーを飲みながら夜2人で掛け合いするところとか本当にうまいし刃物向けるのも上手い。絶対有名になる。

信じるってなんなんだろうね本当に。信じるものがその人の本当だし、けど信じてない人からしたら偽物なんだよな。信仰って当たり前にあるけど難しい。けどこれは多分深掘りすると信じる側に回ってしまう気もして怖い。おじさんの正義も両親の正義も耐えられない姉の正義も、家族といる選択をするちひろも正解なんだもんね、救うってなに?宗教から抜けるのが本当の正義?ちょっと考えて思ったけどこの映画における宗教の描き方ってそのままじゃなくて、そういう信じる対象を取り囲む人間の話だね。宗教が主題じゃなくて、人間が主題で宗教はあくまで主題を見せるための付属品。新興宗教が絡むと映画それ自体が胡散臭くなっちゃうけどそれでこの映画を遠ざけるのは勿体ない気がする。

人を巻き込まなければ信仰から生まれる強い自分の芯ができるし、仲間もいて楽しい空間なのかも。それを金にする人達のせいで全てが怪しく見えるのかな。宗教を信仰している人が周りに少ないし、信仰してないから知ろうとしないって言うところでも知識不足から勝手に宗教を怖がっている気もする。とはいえ私もキリスト教すら怪しいと感じていた時期があるから何も言えない。信仰していなくても信仰している人を許容する?というかその人自身として見てあげるというのは大切だな。偏見よくない。


深く考えるタイプの映画は絶対人と行っちゃダメだ。毎回後悔する。
自分の好きな人に否定されるのはしんどいよ。ちひろの気持ちと同じだね。
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