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Luz(原題)のsonozyのレビュー・感想・評価

Luz(原題)(2018年製作の映画)
5.0
ドイツのTilman Singerによる五感官能スリラー。
ケルン・メディア芸術大学の卒業制作として制作されたという長編デビュー作。(これまで短編、CM、MusicVideo等の実績あり)
こちらのシネフィルお二人のポストを見て、iTunes US(英語字幕)にて。

雨の夜、顔に傷を負ったタクシードライバーのLuz(ルース)が呆然とした足取りで、受付の男だけがいる警察署に入ってくる。

一方、バーでは警察の精神科医ロッシーニに誘惑的に近付く女性ノラ。
ノラはルースと同級生だったチリの学生時代の話などをするが、どうやら悪魔にとりつかれているらしい。
酒に酔ったロッシーニは、トイレでノラから悪魔を移植され、ノラはその場に倒れる。

警察に呼ばれたロッシーニは、女刑事ベルティロンと、スペイン語を話すルースの通訳の男オラルテが同席する会議室で、ルースを催眠状態にし、警察に来るまでの出来事を再現させる。

ノラを後部座席に乗せたルースのタクシー内での出来事や、学生時代のルースが行った悪魔の儀式のシーンなどが、ノラや悪魔化したロッシーニによって再現されていく。。。

16mmフィルムの粗い粒子、同じフレーズを繰り返すルース、不気味なノラ、悪魔と化すロッシーニという3人を中心にしたキャラクター設計の絶妙さ。そして、ゾワゾワさせるノイズやサウンドデザイン、流血・濃霧などで単なる会議室を幻覚ワールドに変えてしまう演出で、警察署、バー、タクシーの車内という限られた場所であることを感じさせない展開に没入させられます。

初めてデヴィッド・リンチの作品を見た時の衝撃に近い、五感やゾワゾワが全開になるような、新たな才能現るという印象です。

予告篇
https://vimeo.com/282196192
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